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◆''「家賃の滞納」''

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賃貸経営の知識

賃貸経営を狂わせる「家賃の滞納」は素早く対応すること

「家賃の滞納」

滞納されたお金をさかのぼって
集金するのは大変!!

家賃の滞納が起きると、その対応には空室対応以上の労苦がつきまといます。

家賃滞納、空室の発生はともに賃貸経営を脅かすことで、速やかな対応が必要とされます。賃貸仲介の現場では不動産会社の担当者が走り回るトラブルに、1に「敷金返還」、2に「契約関連」、3に「家賃滞納」といわれるほど悪質で、解決に時間もエネルギーもかかっているのが現状。

実際、入ってくる予定のお金が入ってこないと総ての段取りが狂ってくるので、家賃滞納には甘い顔ができない。

家賃を払う側にとっては払えない何らかの理由があるのでしょうが、その理由を斟酌(しんしゃく)していると、もらえるものももらえなくなるので、断固とした姿勢が求められます。

その手法には賛否があることですが、滞納督促をするある管理会社の担当者は、借金催促の消費者金融と変わらない回収策をとっています。
 
年金問題も、滞納者からお金を集める集金人は社会保険庁の職員ではなく、アルバイトや嘱託のスタッフで、その人達の給与は集めてきた金額で評価され、集金の額が少ないとクビになるため、臨時雇用のスタッフは必死になって滞納金を集金します。家賃滞納の話と関係ないのですが、滞納されたお金をさかのぼって集金するのは大変だというたとえ話です。

賃貸住宅の場合、当初結ぶ賃貸借契約において賃貸人の義務、同じく賃借人の義務が明記され、各々の義務の履行が始まる訳ですが、住宅は人が生きていく上で絶対必要なものですから、賃借人には法律上の保護(権利)が少なくありません。家賃の支払いを1回怠ったからといって催告なしには契約解除といきません。


1週間を待たずに連絡をとって
督促すること

家賃滞納が起きると、とにかく素早く対応することです。家賃の集金を管理会社に頼んでいる場合は、管理会社が事務的に対応してくれるので問題ないのですが、大家さんが直接受け取る、あるいは銀行に振り込んでもらっているのなら、入金予定日から4〜5日経っても振り込まれない時点で督促に入ることです。

うっかり忘れていたり、残高不足等の理由が分かれば問題化することもなく解決するのですが、支払い不能になっていたり、払いますと言って日にちが延び延びになるのは要注意。滞納になった最初の1ヵ月でグズグズしていると、「早く払ってください」「近々払います」といったやりとりで2〜3ヵ月はまたたく間です。

ですから早め早めに対応していくことで、うっかり忘れ以外は入居者の身に何かが起きたと見て対応に着手します。

まず第一にやることは、メモとか置き手紙、あるいは電話ではなくできるだけ当人に会って催促することです。顔を見て話せばどういう状況か分かるので、事情があればそれを考慮した対応もできるはずですから。お金の督促はなかなかやりづらいですが、家賃あっての賃貸住宅経営ですからビシバシやらざるを得ないということです。

ある大家さんは、2ヵ月分の滞納は何か事情があるのだろう、そのうち入金してくれるだろうとあえて督促しなかったのですが、3回目(3ヵ月分)の滞納が起きた時、これはダメだと思って内容証明郵便で督促すると、1週間ほどで3ヵ月分全額を払い込んできたということです。
   
余談ですが、ある大家さんが家賃滞納の督促に入居者が勤める会社に電話を入れたところ、当人が外出中だったので電話に出た同僚に、家賃が振り込まれていないので早急に振り込むようにと伝言をしたところ、後で入居者から強烈なクレームが入ったという例があります。当然のごとく督促にも配慮が必要です。

人それぞれに何らかの理由で家賃が払えないということが起き、その理由を分かって対応するのも方法ですが、とにかく1回滞納が起きたら1週間を待たずにまず本人に連絡をとって督促することです。


滞納を理由に契約解除に持っていく
明け渡しに努めた方が結果的に経営上得策であることが多い

家賃の滞納を理由に契約を解除して部屋の明け渡しを請求するのは簡単なように見えて、やはりやっかいです。

滞納が3ヵ月、4ヵ月となって、督促にものらりくらりと逃げられるなら、いっそのことスパッと出ていってくれると、3〜4ヵ月の家賃を捨てることになっても、こちらの方がよかったと思う大家さんは少なくないようです。

家賃を毎月払ってなおかつ滞納している分を返済するというのは、収入が落ち込んだ時にはなかなか負担になるものです。負の連鎖で、滞納はまたたく間に膨れ上がる性格を持っています。

そこで、溜まっている分は敷金で精算して、たとえ足が出てもスッキリ退居してくれれば次の入居者を迎えることができるので、もめ事が起きる前に「契約解除」→「明け渡し」を希望する大家さんが多い。

裁判の判例では、契約を解除できるのは、

長期にわたって債務の履行を求めたが、期間内に履行されない場合

当事者間の信頼関係が壊れた場合

度々支払いが遅れ、しかも再々の催促にも誠意を全く見せない場合

そして、催告なしに解除できる場合もある

というのが過去の裁判所の見解。 

ただ、滞納が1回あって、催促したがナシのつぶて、逃げ回って誠意を見せないので、即契約解除できるかといえば、ケースバイケースで、事例ごとに信頼関係がどこまで壊れているかを判断して決められるようです。

滞納に対して大家さんが催促するのか、管理会社がするのか、日頃接している仲介不動産会社が催促するのか、色々なパターンがありますが、ほとんどの滞納者は「電話督促」→「面談督促」→「内容証明郵便送付」の段階で、10人中7人か8人は支払うようです。残りの2〜3人が長引き、裁判に持ち込むほど悪質な例はごくまれです。

滞納が起きて、滞納分の家賃の回収に力を注ぐ一方、契約解除に持っていき、明け渡しに努めた方が結果的に経営上得策であることが多いという声が少なくありません。


家賃滞納の対策上からも
連帯保証人を2人つけてもらうのが必要事項

家賃滞納による損害をカバーするためには、やはり連帯保証人をきっちり、できたら2名とっておくのが無難なようです。

ある大手の賃貸仲介専門店は契約時に連帯保証人を2名つけるのを入居の条件にしていますが、2名は入居者にとって負担ではないか、と一度聞いたことがあります。その時の返事は「2名つけることで家主さんから信用してもらっています。保証人は元来、物件を担保するものですから、入居者の顔色はそうかまっておられません」と随分強気で、感心したものです。 

連帯保証人を2名つけてもらっておけば、滞納が起きた時、債務者(借主)同様に請求できるので、役に立つのは確か。ただ、連帯保証人でも身内の場合は、負担してくれる率も高いのですが、単なる友人、知人となると滞納額が大きい分、「それでは当人に代わって全部お支払いしましょう」とはおいそれと言ってもらえない。

まして更新が重なって更新時に保証人の確認をとっていない場合、債務に対して首を縦に振ってくれないことが多く、悪くすれば裁判になったりします。

連帯保証人にはなるべく早いうちに連絡して督促した方が得策で、「最後に保証人がいるので…」と思って安心していたのが、借主と話がこじれて時間も経ち、金額も大金となって債務の履行を申し入れても、保証人も態度を硬化させて裁判までもつれることになりかねません。

とすると、やはり最初の契約時の“人選”と連帯保証人の確保が昔も今も賃貸経営の安定に結びつく原理原則ということでしょうか。

滞納で苦慮している大家さんの多くが自主管理で、1〜2ヵ月様子見しているうちに3〜4ヵ月分が溜まり、話し合いに時間を費やしているうち半年とか1年経って、ますます話が悪化するというケースが目立ちます。

入居者と契約する時、連帯保証人2人をつけてもらうのが家賃滞納の対策上からも必要事項といえそうです。それと、家賃の「自動引き落とし」が便利で、滞納防止に役立つと多くの大家さんから聞きます。


速い解決には、滞納が起きた初期の段階で、
当人と面談していわゆる一筆もらうこと

公営住宅でこんなケースがあります。埼玉の川越市で「川越市は市営住宅の家賃を長期にわたり滞納し、再三にわたる催告や納入指導に応じない入居者に対して、滞納家賃の支払いや住宅の明け渡しを求める調停を申し立てる方針を固めた」(埼玉新聞・2007年6月13日)。

この川越市の長期滞納の内容は「最大で百七十一カ月(約十四年間)、約三百十万円の家賃を滞納している世帯など計四世帯(滞納総額約七百九十五万円)を対象」(同)というもので、滞納を14年間放置していたその市側の姿勢にも驚くべきものがあります。

行政は常に弱者に気を配る姿勢が求められ、川越市のこのケースではその最たる例ではないでしょうか。それほど滞納の督促は難しいということです。

管理会社にとって滞納対策は仕事ですから、法的なルールも絡めて事務的に対応していきますが、個人で自主管理している大家さんにとっては骨の折れること。しかし、川越市のように14年間も放っておく訳にはいきません。

滞納を起こす入居者にも滞納・遅納の理由、原因がある訳ですが、それにお付き合いしてなまじ理解を示すと解決は遅れる一方になります。

速い解決には、滞納が起きた初期の段階で、当人と面談していわゆる一筆もらうことです。

滞納額の返済方法を確認して、念書を交わす。

その上で確認事項が不履行になった場合、

解約、明け渡しの合意書を交わす。

また、急に連絡が途絶え、行方不明となった場合に備え、

部屋の残置品の処分の合意書をとっておきます。

ただこうした「念書」「合意書」は、当人に家賃支払いと滞納時におけるルールの周知徹底に役立ちますが、私的な契約になりますので執行証書としての公正証書をつくらなければならないのと、明け渡しの強制執行、家財の処分には法的手続きが必要となります。

法的手続きを経て、判決が下り、差し押さえ家財を競売にして、そのお金を滞納家賃に充当する…と、本当に手間と苦労のいる作業が続きます。中にはこんな面倒なことはやってられないと、入居者の合意もなくマスターキーで部屋に入り、家財を処分してしまう大家さんもいて、話題になったりします。

ここでもやっぱり連帯保証人に連絡を入れて残置家財を引き取ってもらうことですが、保証人もなかなか、分かりましたとは言ってくれないのが昨今の現実のようです。


人を見て間髪を入れずに手を打ち
膝詰めで談判するのがやはり効果的

賃貸経営の難しい一面で、人相手の商売ですから理屈だけで解決できないところを抱え、おそらく100人滞納者がいれば、その内容(事例)は100のケースを数えるのではないでしょうか。

決められた家賃が払えない、という結果は一つなんでしょうが、ではそれに対して、どうする! となれば、事例は一つひとつ違ってくるようです。

滞納が起きればとにかく早い段階で入居者と面談して遅れている理由を聞き、遅納が滞納化しないように払い込みの約束を取りつけ、念書をもらう。

1回目の面談で「念書」あるいは「解約・明け渡しの合意書」交付までもっていくか、あるいはその場の成り行きで事情を考慮して、1回目は催促と苦情の申し入れにしておくか、こうした判断は普段の信頼関係に基づいての対応になるかと思います。

何年も入居している人に、1回遅れただけでいきなり「念書」とか「解約合意書」の話を持ち出すと、長年の信頼関係が崩れることになりかねません。

ただ、最初の連絡の時、甘く対応したため、その後、ズルズルといくケースが多いのも事実です。払えない理由に理解を示し、それではなるべく早く払ってください、となれば、いつか払える時に払うという、ある時払いになる恐れが出てきます。

強固に出るべきか、しばらく様子を見て…か、この辺の線引きは難しいものがありますが、人を見て間髪を入れずに手を打つことが大事ということです。

家賃滞納の法的手段としては、「滞納家賃支払請求の内容証明の送付」、そして「訴訟」「裁判」「判決」「強制執行」「差し押さえ競売」「残置動産の処分」と続きます。時間がかかり経費も少なからずかかります。

こうなる前に、早い段階に膝詰めで談判するのがやはり効果的とベテランの大家さんが話されます。

できるだけ穏便に、相手の話を聞きながら自分のところも大変困っている旨を強調して、払ってもらう、あるいは退居してもらうことをソフトに説くのがコツのようです。高飛車に出るとまとまる話も険悪になってこじれるということです。

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