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◆''「賃貸経営と高齢者対応」最新事情''

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賃貸経営の知識

高齢社会の急速な歩みを受けて急速に進む環境整備

「賃貸経営と高齢者対応」最新事情

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高齢者住居供給の視点から積極的な取り組みが見られる

需要のあるところにビジネスが展開されるセオリー通り、高齢社会の急速な進行とともに、賃貸ビジネスにおいても新たな広がりが模索されています。

今日の賃貸経営と高齢者対応について見ていきます。

わが国は世界でも類を見ないといわれるほど急速かつ大規模に高齢社会への傾斜を深めています。社会が高齢化するということは即、高齢者対応の諸問題を抱えることとなります。

高齢者の諸問題とは、医療(介護)と生活環境に集約されます。介護あるいは医療を受けながらどこで誰と生活するのかといったことです。高齢社会への急速な歩みは、住まいに対しても多くの問題を投げかけています。

高齢者の多くが所有する持ち家の老朽化、バリアフリー対応の費用負担、家族数の減少による間取りの多い住宅維持の負担といった問題が生じています。

賃貸住宅に関しては、社会の高齢化を受けて、早くから国の政策が打ち出されてきました。

2001年10月に、高齢者の居住安定確保に関する法律(「高齢者居住安定法」)が施行され、2005年10月に一部改正されて、同年12月から「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」の登録制度がスタートを切りました。いわばこの時期が賃貸住宅の本格的な高齢者対応の始まりともいえます。

賃貸住宅の高齢者対応の大きな柱は、

高齢者の居住安定確保に関する法律(高齢者居住安定法)
高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)

の4つ。

この4つを軸に、介護保険施設、介護付有料老人ホーム機能などが付加された従来にないタイプの賃貸住宅が各地で誕生しています。

賃貸経営の一つの課題事項である「差別化」の推進においても、高齢者向け住居の供給の視点から積極的な取り組みが見られるものです。 

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高齢者向けの賃貸住宅事業者への支援

事業内容によって優遇策が受けられる

社会の高齢化に対応して、賃貸住宅に関した国の政策は比較的早くから打ち出されています。

国交省と厚労省の外部組織として、高齢者居住支援センター、(財)高齢者住宅財団を1999年3月に立ち上げて、高齢者向け賃貸住宅の普及の支援に力を入れています。

賃貸住宅事業者への支援の柱は、

 ・ 整備(建設・改良)費の助成
 ・ 家賃の減額の助成
 ・ 税制・融資の優遇

の3つで、事業内容によってこうした優遇策が受けられるのです。

高齢者向けの賃貸住宅の建設を計画する場合、各都道府県の土木部住宅課が相談に乗ってくれます。

政令都市、中核都市も同様に住宅課に行けばアドバイスが受けられます。自治体によって担当部署の名称が違うこともあり、助成等の内容も異なるケースもあります。

高齢者を支援する賃貸住宅及び制度各々のアウトラインは次の通りです。

高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
高齢者円滑入居賃貸住宅のうち、高齢者単身・夫婦世帯などもっぱら高齢者世帯に賃貸する住宅として登録されたもの。家賃補助はなく、家賃債務保証制度があり。

高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
バリアフリーが施され、緊急対応サービスの利用が可能な賃貸住宅。社会福祉施設等の併設が可能。60歳以上の単身、夫婦世帯の入居が対象。家賃補助は都道府県別で、一部あり、家賃債務保証制度はあります。

高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)
高齢者であることを理由に入居を拒否しない賃貸住宅をその貸主が登録し、その情報広く提供する仕組みとして設けられた制度。家賃の補助はなく、家賃債務保証制度はあります。

家賃債務保証制度とは、高齢者の家賃の不払い等に対する貸主の不安感を解消するために、高齢者等の家賃債務・原状回復費用及び訴訟費用を保証することにより、賃貸住宅への高齢者等の入居を支援・促進する制度です。

このほかの賃貸住宅として、UR機構(都市再生機構)のシルバーバウジングなどがあります。
 
各賃貸住宅の特徴、制度は補助金支給の対象となっているため、やや複雑です。計画に際しては自治体窓口でアドバイス、指導が受けられますので、具体的に検討するには各窓口で説明を受けられることをお勧めします。

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建設相次ぐ高齢者向け賃貸住宅

介護、医療施設を組み合わせ多様化

高齢社会の急速な歩みを受けて自治体はもとより、NPO、医院、医療法人が高齢者向け賃貸住宅に対し積極的な対応策を打ち出しています。

高齢者向けの「住居」と組み合わせた「医療施設」の建設が各地で見られます。とくに国が今後、療養型の病床を減らす方針を打ち出していますので、高齢者対応の賃貸住宅のニーズの高まりを受ける形で、新しいスタイルの賃貸住宅が建設されています。

従来見られた介護付有料老人ホームにとどまらず、ターミナルケア(終末医療)をも視野に入れた“老人看護ステーション”と賃貸住宅が一体化した建設がプランニングされています。その傾向は全国的で、次のケースはほんの一例です。

「高齢者マンション」(盛岡市):医院や訪問看護支援ステーション、訪問介護支援センター、有料老人ホームなどが備わった分譲と賃貸のマンションが一体。24時間態勢で対応。

「あんしん賃貸支援事業」(愛知県他):高齢者や障害者らの賃貸住宅入居を支援。受け入れ可能な物件の家賃、バリアフリー等の情報を登録し、その情報を提供する。

「高齢者向けの賃貸アパートの建設」(和歌山県):介護スタッフが常駐するバリアフリー化したアパートの建設相次ぐ。

「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)を運営する医療法人向けの営業を強化」(大和ハウス工業)

「高齢者向けマンション建設」(関西電力グループ):看護師や医師らによる24時間の電話健康相談サービスを提供する。

この中でも、あんしん賃貸支援事業は国がとくに力を入れており、情報の登録・提供に各自治体とも注力。これからの高齢者対応賃貸住宅の中核事業になるとみられます。

それと前述した通り、介護、医療施設を組み合わせた多機能の高齢者向け賃貸住宅の建設も多様な広がりを見せています。

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一般化する総合医療介護サービスとの統合

従来になかった高齢者対応の賃貸住宅の普及に拍車

ところで2008年9月15日現在の高齢者(65歳以上)人口の推計(総務省)は2819万人で、総人口に占める割合は22.1%。過去最高といいます。高齢者人口の推移をグラフで見ると一目瞭然で、30年前の昭和50年代から右肩上がりとなっています。

医療施設をはじめ、生活環境が経済の高度成長に伴って整ったことから、長寿社会を迎えたのですが、その一方で、子供を産まない少子化も同時に進行して、少子高齢社会の到来となっているものです。

こうした社会環境を背景に賃貸経営を考えた場合、顧客の一分野をなす高齢者層の対応を無視できないことなります。

高齢者の入居者は例外はあるとして一般的には、もの静かで協調性も高く、生活が落ち着いている分、家賃の滞納は少ない。その半面、不意の病気の発生、万一の連絡先の不通、事故のリスクが高いことから入居を敬遠する傾向が強いのも否めないところです。

賃貸経営上のメリットの部分を評価するべきか、リスクを嫌うかは大家さんの選択次第というところですが、ここへきて行政のバックアップがかなりレベルアップしていることもあって、高齢者の入居の促進を図る賃貸住宅が広がりを見せています。

国交省が年1回行っている「住宅市場動向調査」の2008年の報告書では、65歳以上の居住者がいる賃貸住宅の世帯は全体の12.5%で、このうち居住者が65歳以上のみである世帯は46.2%、さらにその平均人数は1.5人と、2人ないし1人暮らしの割合が高いことを示しています。

こうした比率が今後さらに高まっていくのは確実ですから、国としても手をこまねいてはいられないのです。来年度の予算要求でも国交省は生活支援サービス付きの高齢者向け賃貸住宅の促進の方針を打ち出していることから、高齢者対応の賃貸住宅の普及に拍車がかかりそうです。

各地で建設が進む高齢者専用賃貸住宅も総合病院+老人保健施設+訪問介護ステーションに、さらにプラスして賃貸住宅が組み込まれるといった、総合医療介護サービスとの統合が広まりつつあります。まさに従来になかった賃貸住宅が誕生しているのです。

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これからの賃貸経営に無視できない高齢者対応

要は年配者に安心して住んでもらえる賃貸住宅を経営すること

賃貸経営をしていく上で、高齢者(の入居者)とどう向き合うべきか、を考えますと、高齢者市場を開拓するのは、規模、レベルにもよりますがやはり大変という現実があります。

病院や老人保健施設、訪問介護ステーションとが一体化した新しい時代の賃貸経営のスタイルが注目されているといっても、資金とノウハウがないとできないことです。

一個人の大家さんとして、高齢者対応の賃貸経営を進めるにも限られてきます。しかし時代は高齢社会に突入しているのですから、これからの賃貸経営に高齢者対応を無視するわけにはいきません。

それでは、比較的取り組みやすい高齢者対応について、思いつくままに挙げてみます。

連帯保証人、身元保証人、連絡先等が揃っていれば、高齢入居者に門戸を広げる。

公的な補助金・助成措置等を活用して、バリアフリー化する。

テナントとして医療関係施設の入居促進を図る。

「高齢者専用賃貸住宅」として登録する。

思い切ってコンバージョン(用途転換改装)する。

などが考えられます。

いずれにしろ、入居者層をボリュームゾーンの20〜30代に絞るのが一般的な賃貸経営ですから、一口に高齢者対応といっても手探りのところもあるのですが、要は年配者に安心して住んでもらえる賃貸住宅を経営することではないでしょうか。

各自治体は高齢者向け賃貸住宅に対して、建設・改良などの整備費の助成、家賃の助成、税制・融資の優遇に積極的ですから、一度資料等を取り寄せてチェックしてみてはいかがですか。

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