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「英語」文学の普遍性について

☆エンジェルのほほえみ(花岡京子)


         「英語」文学の普遍性について


   本誌でシェークスピアのことを何度か取り上げていますが、シェークスピア
  といえば16世紀英国の劇作家(1564〜1616)。日本でいえば今から400年前、織
  田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康が覇を争った時代で、家康が江戸幕府を開
  いたのが1603年のこと。

   その頃に、『リア王』や『マクベス』が発表され、演じられていたのですね。
  アメリカ建国(アメリカ独立宣言・1776)のはるか170〜80年前に、今私たちが
  観ても十分感動する喜劇、悲劇、史劇がつくられていた。

   日本に最初にシェークスピアを紹介したのは、よく知られているように作家
  の坪内逍遙。明治17年、『ジュリアス・シーザー』の翻訳でした。つけられた
  邦題は、『自由太刀余波鋭鋒』(じゆうのたちなごりのきれあじ)というもの。
  また初のシェークスピア上演は、明治18年の『ベニスの商人』が『何桜彼桜銭
  世中』(さくらどきぜにのよのなか)という題目で、中村宗十郎一座によって
  演じられたのが記録に残っています。

   この後は、大正時代の森鴎外、坪内士行、戦後には中野好夫、木下順二、福
  田恆存の翻訳がよく知られています。私たちが翻訳文を読む場合、戦後の中野、
  木下、福田三氏のいずれかにお世話になる場合が多いのですが、三氏とも原文
  の持ち味を十分に引き出した流動感あふれる名訳となっています。

   話を転じて、私たち日本人が江戸前期までに書かれた公式文の手書きの「日
  本語」を読むことはかなり骨が折れることで、普通の人は読みこなすのはまず
  無理です。時の役所が書き残した記録文は漢文がベース。戦場の伝令文やお上
  の通達文は仮名混じり文もたくさんあるのですが、あの当時の、毛筆でクイク
  イと書かれた文章など、小学校の教科書から活字体で習ってきた現代人にはと
  てもじゃないけど読み切れないし、書かれている事実の表現も今とはかなり違
  う。

   映画やテレビの時代劇で200年前や400年前の日本人が喋っている言葉なんか、
  後世のシナリオライターがほぼ勝手に書いているようなもので、当時使われて
  いた日本語って、一体どれだけの人が知っているのでしょうか。

   英語の世界は、シェークスピアの原文が今でも十分に読みこなせることが可
  能。愛のささやきや悪人を罵倒するのに時代がかった、古風ないいまわしがあ
  りますが、言葉のリズムや人間心理の描写の素晴らしさは十分に理解できます。
  なにをおいても、書かれている事柄が言葉(文章)を通して理解できるのです。
  日本文化や日本の古典文学の特殊性を嘆くというのではなく、英文学の普遍性
  に今頃感心している次第です。


  (2001.5.15)

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