あらためて「入居者に長期居住してもらう経営」に徹すること
あらためて「入居者に長期居住してもらう経営」に徹すること
不満を解消し、サービスに努めるのが経営の原点
長く住んでもらえば稼働率は必然的に高くなり、経営も安定
今、入居している入居者に、できるだけ長く住んでもらう。それが安定経営につながります。十分理解できることです。それでは、入居者に長く住んでもらうために、何をどうすればいいのでしょうか。かつては礼金や敷引きの収入を増やすために、入居の「回転率」を高めるという考えもありましたが、今日では、できるだけ長く入居してもらうことが安定経営につながるわけです。
空室が出ますと新規の入居者に対して関心が向きがちですが、入居稼働率から見れば、現在入居している方に長く住んでもらえば稼働率は必然的に高くなります。
第一に今日、一度退去が発生すると、次の入居者を見つけるのに大変な時間と手間がかかります。当然、空室の間、家賃が入ってきません。逆にいえば、何の問題も起こさない入居者が長く居住してくれれば、収入も安定して、賃貸経営は落ち着きます。ですから経営を安定させるためにも、とにかく入居者に定着してもらうことです。
入居期間についてこんなデータがあります。日本賃貸住宅管理協会の「賃貸住宅市場景況感調査」(2011年度上期)を見ますと、全国平均の居住期間は、6年以上の入居では学生を除く一般単身が1.1%、ファミリーが9.5%、65歳以上の高齢者が52.8%。
一般単身の場合、69.3%が2~4年で退去し、ファミリーと高齢者になると4~6年、居住が増えています。増えたといっても4~6年と、決して長い年数ではありません。
それでは、長く入居してもらうには、何をすればいいかですが、まず入居者の要望に応えて不満を解消することが挙げられます。たいていの入居者は今の住居に100点の満足度ではなく、多少なりとも何らかの不満を抱いているはずですから、そうした不満を解消してあげることです。
設備でも、およそ10年がひと区切りになりますが、あまり入居者にガマンを強いていると住み替えられる心配もありますから、老朽化した設備は入居中であっても折りを見て、思い切って取り替えることを検討してもいいのではないでしょうか。
そして清掃に気を配ること。清掃は基本的にはホウキ掃きと雑巾がけではないかと思います。建物が古くても新築であっても清掃を怠れば目に見えて物件の価値を下げ、同時に入居者のモラルも悪くなりますから、物件を清潔にして入居者に気持ちよく住んでもらいましょう。
不満の声を聞き漏らさない
さらにサービスに徹します。賃貸経営は住居を提供して家賃をいただくのですが、同時にサービスも忘れないように。入居者にしてみれば普段の生活に、たとえ親切心であってもとやかく干渉されるのは嫌だという半面、苦情、要望に対しての応対が悪いと、何も聞いてくれない、と不満がつのる結果となりますので、入居者の不満の声を聞き漏らさないことです。
このように入居者の不満を少しでも解消してあげて、清掃に力をいれ、サービスに努める、と平凡なことですが、賃貸経営の原点はこんなところにあると思われます。
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