最高裁「更新料有効」判決後の市場模様
最高裁「更新料有効」判決後の市場模様
急速な変化を見せ、一律ではいかない賃貸マーケット
2011年7月15日に、最高裁から「更新料有効」の判決が言い渡され、賃貸業界はホッと胸をなで下ろしたものです。しかし、物件を紹介する仲介現場では、これからが正念場です。
賃貸業界にとって2011年はすでに、大きな判決が二つ下されました。3月に、「敷引特約契約」有効の判決が最高裁で出たのに続いて、7月、同じく最高裁で、「更新料は有効」と判断されました。
最高裁判決の重み
わが国の司法の最高機関である最高裁判所で決められた判決の重みは、大きなものがあります。不動産会社にとって、これで堂々と更新料を取り扱うことができます。
ただし条件があります。「高額過ぎるなどの特段の事情がないこと」と「更新料条項は賃貸借契約書に具体的に記載すること」が主な2点です。
このように更新料の正当性が国に認められたことの喜びと安心感がある一方、あらゆる商品の取引きに競争がある通り、今日、賃貸住宅の契約も厳しい環境下に置かれています。
部屋を探す消費者は千差万別で、色々な考えを持たれています。設備や日当たりに少々難点があっても目をつぶる、その代わり賃料や入居一時金をできるだけ抑えたい。
その逆も多く、風呂の追い焚きは必要、防犯設備の充実は必須、家賃、礼金、更新料は相場並みなら結構という層も少なくありません。つまりこれからは、かつてのように一律ではいかなくなる傾向が強くなると考えられています。
毎月の家賃のほかに必要な入居の際の敷金・保証金、礼金、解約時の敷引き、そして期間更新時の更新料といった金銭の授受が年々シビアになっています。
入居者の負担を小さくして、入居の促進図る傾向強まる
いわば「サービス」競争激化の時代を迎えているともいえます。とにかく入居決定を最優先するために、入居者の負担を小さくして入居の促進を図る、という考えが広まりつつあります。
部屋を空けておいても収入が入らないので、幾分減少するが、確実な毎月の家賃収入を見込んだ方がいいのではないか、と考えられる賃貸経営者が増えているのです。“損して得とれ”とも言えないことはないのですが、空けておくより入ってもらった方が、収入に結びつく、という思いです。
物件の評価、立地、築年数等々で同一視できませんが、賃貸市場は急速な変化を見せています。これからの賃貸マーケット、「入居者指向」の尊重が今まで以上に求められています。
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