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最高裁における、更新料「有効」判決の波紋 (2011年7月27日)

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◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

最高裁における、更新料「有効」判決の波紋

今後さらに変革が求められ、大きな変動が起きると予測されます

最高裁で更新料を「有効」とする判決が出た直後、親しくしている賃貸仲介不動産会社営業マンが「それでもこれからは、更新料はだんだんもらえなくなるだろうな」と言った一言が印象に残っています。賃貸物件を探す消費者と毎日接している担当者の声だけに重みを感じます。

最高裁の判決に伴い当座の混乱はあっても、国からお墨付きをもらった商品を堂々とセールスできる安心感は小さくないのですが、なんといっても「賃貸仲介」は、貸手と借手が合意して初めて成立するものです。

安い、便利、気に入った、それではお借りします、賃貸借契約の条件はこのようになっています、ところがその内容では嫌だ、となれば、契約は成立しません。

仮に似たような物件が二つあって、片方は礼金もない、更新料もない、もう片方は礼金1ヵ月、更新料は2年ごとに1ヵ月必要となれば、部屋を探す消費者が「ない」方に手が伸びるのは至って自然な流れです。

住居の場合、電気製品や家具を選ぶように単純にいかないものがありますが、負担金が少ない方を選ぶのは当たり前のことかもしれません。

こうした傾向を理解するのに、国土交通省と(財)日本賃貸住宅管理協会が公表している直近のデータを見ればよく分かります。

国土交通省がこの6月に発表した、2010年度の「住宅市場動向調査」結果によりますと、礼金があったという世帯は、50.5%で、礼金不要の物件が増加しているとしています。

また、更新手数料については、あったという世帯は36.4%で、昨年度と概ね同様の傾向であるが、割合は低くなっている。更新手数料の月数を見ると、「1 ヶ月ちょうど」が 55.7%。

次いで「1 ヶ月未満」が 39.5%で、両者で9割以上を占めている。また、「1 ヶ月未満」の割合が増加傾向にあることも特徴として挙げられる、としています。

(財)日本賃貸住宅管理協会の2010年度下期の賃貸住宅景況感調査『日管協短観』を見ますと、全国の礼金なし物件、敷金なし物件の増加が続いており、入居時の条件交渉においても、「賃料」「礼金・敷金等初期費用」の交渉は「多い」との回答が7割以上を占める、とまとめています。

国交省、日管協のこうしたデータが賃貸市場、仲介現場の実態を雄弁に物語っています。

これはやはり、借手有利な市場からきています。(数が多いため)物件を自由に選んで、(インターネットを利用して)比較できるのですから、消費者にとって有利に条件交渉を進めたり、物件を選ぶことができるのが大きい。

地域によって違う商習慣の上に成り立っている賃貸ビジネス。今後さらに変革が求められ、大きな変動が起きると予測されます。

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(2011.7.27)

  賃貸借契約・更新料条項裁判」で、最高裁が賃貸住宅の更新料は「有効」の判断
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