賃貸住宅経営と相続税(ちんたいじゅうたくけいえいとそうぞくぜい)
賃貸経営用語解説
賃貸住宅経営と相続税
(ちんたいじゅうたくけいえいとそうぞくぜい)
賃貸住宅経営は、相続税対策上、有効な土地活用としてよく知られ、税
務上の特典を考慮して経営を始められる人が多い。賃貸経営と相続税は
深い関係。
相続税は、亡くなった人の遺産を相続した時に課税される税金で、「正
味の遺産額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりませんので相続税
の申告は必要ありません。申告と納税は、被相続人が死亡した日の翌日
から10ヵ月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署にすることになって
います」(国税庁)。最長20年の「延納」や「物納」も可能。
この相続税に新たな動きが出ている。
「平成23年度税制改正大綱」が2010年12月16日に閣議決定され、2011年度
の税制改正において、「相続税・贈与税の見直し」などの措置を講じるこ
とが決定。50年ぶりの改正によって相続税の増税が始まろうとしている。
賃貸経営のオーナーにとって、この税制改正で最も影響が考えられるの
は、「資産課税」の「相続税」改正。
「資産課税」について財務省は次のように説明、「相続税については、
格差固定化の防止、相続税の再分配機能・財源調達機能の回復等の観点
から、基礎控除を『3,000万円+600万円×法定相続人数』へ引き下げる
とともに、高額の遺産取得者を中心に、負担を求める観点から最高税率
を55%へ引き上げるなど税率構造を見直します」。
「基礎控除額の見直し」「税率構造の見直し」「死亡保険金の非課税の
見直し」等によって、現在は相続税の申告対象外になっている人も申告
の必要が出てくる場合がある。基礎控除額が下がるため、税の支払い対
象が増加する。
現行の制度では、定額の5,000万円に、法定相続人1人当たり1,000万円
を足した金額が遺産額から基礎控除されているものが、改正で、定額を
3,000万円とし、法定相続人1人当たりの金額を600万円に下げている。
また最高税率について、現行では、相続の際の課税財産の額に応じ、10
%から50%まで6段階であるものを、改正で最高税率を5%引き上げ、
55%まで8段階に見直している。
従来は、亡くなった人100人のうち、4人の割合で相続税の負担が発生し
ていたものが、相続税改正によって、10人に1人程度に相続税の負担が
発生すると予想されている。
特定の有資産者に限ってかかる税金ではなく、自宅を相続するにもかか
ってくるケースも出てくることから、相続税大増税時代とも、相続税大
衆化時代への突入ともいわれる次第。
こうした傾向を受けて、相続税対策と賃貸住宅経営のあり方が、従来に
も増して注目されている。
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