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「賃貸経営新時代」の様相がさらに深まっている (2010年2月5日)

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◆ 賃貸ビジネスを考える


「賃貸経営新時代」の様相がさらに深まっている

2009年に新設された賃貸住宅、前年比マイナス30.8%の32万1,469戸
平成に入って最も少ない戸数

1月末に、昨年1年間に新設された賃貸住宅の戸数が発表されましたが、減少幅の大きさが各方面に波紋を投げかけています。
  
2009年に新設された賃貸住宅は、前年比マイナス30.8%の32万1,469戸。平成に入って最も少ない戸数となっています。1987(昭和62)年から1990(平成2)年の4年間の平均が83万5,169戸ですから、この当時の4割にも満たない新設規模。
  
一般に10年一昔といいますから、動きの激しいこの時代、20年前と比べてもあまり意味がないかもしれませんが、ここ10年でも最低のライン。
  
統計上の数を比較するまでもなく、街の中を車で走っていてもアパート・マンションの建設現場に遭遇する率は一時と比べて格段に低くなっています。
  
新設戸数が減少すると、まず建設会社、仲介不動産会社の業績への悪影響が挙げられ、建てる数が減少し、仲介する新築物件が減るのですから、市場全体への悪影響は避けられません。
  
すでに賃貸経営しているオーナーから見れば、強力な競争相手の登場が少なくなるので、やや安心となります。
  
一方、ユーザーである賃貸住宅を探している入居者には、新築物件の数が減って、住居選択の幅が狭くなる物足りなさがつきまといます。
  
国交省の「2008年度住宅市場動向調査報告書」の「入居した賃貸住宅の建築時期」によりますと、1995(平成5)年以降の物件がおよそ全体の半数50%を占め、1985(昭和60)年から現在までの物件で約8割を占めています。
  
つまり築25年クラスの物件で、賃貸市場は構成されているということになります。
  
入居者は新築を好み、市場の流通も築浅が主流となっていることから、新築が減少しますと市場全体に精彩を欠くことは否めません。

根本にあるのは「空き部屋」の存在
  
こうした現象をシンクタンクは、不景気の長期化や賃貸経営の収支悪化によって投資意欲が鈍り、金融機関の貸し出し締め付けもあって、賃貸住宅の新設が落ち込んでいると分析しています。
  
しかし根本にあるのは、景気悪化、収支の落ち込み、金融の締め付け以上に「空き部屋」の存在であるのは多くの人が認めているところです。
  
とくに、5年に1度実施されている総務省の「2008年住宅・土地統計調査」で、空き家756万戸、空き家率(総住宅数に占める割合)13.1%といったデータが公表され、賃貸経営に対する投資意欲を冷めさせる結果となっています。
  
ただ暗い話ばかりではなく、先日公表された住宅生産団体連合会の「経営者の住宅景況感調査報告」では、「低層賃貸住宅」の今後の見通しについて、「環境系商品や新商品の積極投入により、新規掘り起こしに注力し、前年比で大幅な受注回復を見込む」といった受注拡大に向けた意欲・期待感を表しています。
  
回答した会社の70%強がプラス回復の見通しを立てており、全体的には2009年を底にプラス回復の見通しとなっている、と捉えています。
  
このように見ていきますと、2009年の貸家の新設32万戸という数字は、「賃貸経営新時代」の様相がさらに深まっていることを示しているのではないでしょうか。

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(2010.2.5)


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