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そこはかとなく秋…

☆エンジェルのほほえみ(花岡京子)


               そこはかとなく秋…


  
   10月も中旬、本当に暦どおり秋を深めています。今年のあんなに暑かった夏
  が嘘みたいで、北海道からは初雪の便りが届いています。秋といえば、スポー
  ツとか、勉学とか、食欲とかいわれますが、私は秋といえば、いやでも人生を
  感じてしまいます。秋に感傷的になるのは、日暮れが早くなり、木々が色づき、
  風が冷たくなるだけではないみたい。

  この道や行く人なしに秋の暮れ   芭蕉

   やはり、古くから秋の夕暮れの寂しさが、人生の深みを肌で感じるのにピッ
  タリなのかもしれません。『枕草紙』の巻頭の文に、「秋は夕暮。夕日のさし
  て山の端いと近うなりたるに」とありますが、花や紅葉、そこはかとなく漂う
  秋の夕暮れの情緒は、いやがうえにも心を深く、はかなげにします。

   それだけ秋とは、人生がよく見える季節なんですね。
   今日は、英語のお話ではなく、古文の話になってしまって、あしからず。


  2000.10.20

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