そこはかとなく秋…
そこはかとなく秋…
10月も中旬、本当に暦どおり秋を深めています。今年のあんなに暑かった夏
が嘘みたいで、北海道からは初雪の便りが届いています。秋といえば、スポー
ツとか、勉学とか、食欲とかいわれますが、私は秋といえば、いやでも人生を
感じてしまいます。秋に感傷的になるのは、日暮れが早くなり、木々が色づき、
風が冷たくなるだけではないみたい。
この道や行く人なしに秋の暮れ 芭蕉
やはり、古くから秋の夕暮れの寂しさが、人生の深みを肌で感じるのにピッ
タリなのかもしれません。『枕草紙』の巻頭の文に、「秋は夕暮。夕日のさし
て山の端いと近うなりたるに」とありますが、花や紅葉、そこはかとなく漂う
秋の夕暮れの情緒は、いやがうえにも心を深く、はかなげにします。
それだけ秋とは、人生がよく見える季節なんですね。
今日は、英語のお話ではなく、古文の話になってしまって、あしからず。
2000.10.20