Time flies like an arrow.
Time flies like an arrow.
読者の皆さん、ちょっと遅いですが"Merry Xmas"。私はこの原稿をパリから
オランダのロッテルダムに向かう車中で書いています。4時間ほどすればホテ
ルに到着。そこからパソコン入力し、メールで編集部に送ります。
この時期のヨーロッパは、終日どんよりとして冷たい肌を刺すような雨も降
り、なんとも憂鬱な季節。気温は5℃前後で、コートなしでは外も歩けません。
落葉した街路樹、厚く曇った寒空、夜には冬の稲妻、雷鳴とともに細かい雹(ひ
ょう)が降ります。街も夜は暗く、日本の煌々とした様子とはかなり違います。
今年も年の瀬。月並みですが、あっという間に一年が過ぎた感じ。光陰矢の
如し。英語で言えばTime flies like an arrow.(時は矢のように飛ぶ)と、
しみじみ感じ入った年でした。凶悪な事件が相次いで起きたり、シドニーオリ
ンピックに感動があったり、あらゆる場でミレニアム、21世紀が合言葉のよう
に交わされた年でした。
シェークスピアも『As You Like It(お気に召すまま)』の中で言っていま
す。“Time travels in divers paces with divers persons."(時の歩みは人
によって速さが異なる)と。人それぞれに生き方は様々、時間の使い方も千差
万別。生活スピードも異なることから、「時の歩みは…」と言ったのでしょう。
光陰矢の如し、と感じるのか、充実して生きてきた結果がフルスピードと感
じたものなのか、それにしても「時の歩みは人によって速さが異なる」とは、
なんとも味のある表現です。時の歩みを、矢の如しと感じるか、牛歩の如しと
思うのか、要は当人の生き方なんですね。
皆様、来年も幸多かれと祈りつつ、ロッテルダムからグッドバイ!
※ 本文中の日本語訳は「英語名句事典」(大修館書店)より。
(2000.12.25)