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''『賃貸経営とデューデリジェンス』''(2008.6.10)

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賃貸最新レポート

賃貸経営とデューデリジェンス

キャッシュフロー、リスク分析まで評価基準を広げ、総合的に調査・評価すること
3つの側面から詳細に総合的に捉えたもの

 デューデリジェンス、略してデューデリとも呼びます。
 
 最近、不動産投資市場でよく使われているのですが、不動産の価値を評価するのに従来の手法に留まらず物的調査、法的調査、経済的調査といった3つの側面から詳細に総合的に捉えたものです。
 
 不動産を売買取引きする値段設定は、マーケティング等を基に見積もり、査定されて売却価格が決まるのですが、ベースといいますか、おおかたのやり方は土地公示価格、路線価等を参考にして、周辺の相場を尊重した取引き事例比較法で決められています。最大公約数的な決定法で大きくハズレルことはないと思います。
 
 これが従来のスタイルとしましたら、近年は投資効率を加味して不動産を評価する方式、収益還元のキャッシュフロー方式が広がり、収益性を見るのに利回りが、採算性の良し悪しの一つの基準に置かれています。
 
 土地活用に当てはめますと、所有している遊休地にアパート・マンションを建てて賃貸経営するとどのくらいの家賃が見込めて、諸経費を差し引いた後の利益がいくらになるかといった計算が収益還元法です。

 賃貸住宅の建設には多額のお金が投じられますので、総投資額、自前のお金、借り入れ額、金利、返済期間等々を加味して計算することで、より具体的に現金収支、つまりキャッシュフローの実態が分かります。
 
 収益還元法をベースとして不動産、物件を評価し始めると、土地の坪単価や建物の建設資金、借り入れ金利を中心に計算するだけでは全体像が明確にならないことから、物的調査、法的調査、経済調査を行うデューデリジェンスが急速に広まろうとしているのです。
 
 こうした背景にあるのは、不動産投資信託、不動産の証券化の拡大、あるいはM&A(企業の合併、買収)によって不動産の価値を正確に測る必要性が出ていること。不動産は今後、収益還元方に基づいて評価さられる傾向がさらに強まり、抵当権をはじめとする権利関係の対応が浮き彫りになってきます。
 
 バブル期の地価が土地の収益性におかまいなく上昇したのと一転して、今日ではいかに利用して価値を高めるかに評価の基準が変わっています。土地の利用を図るということは、つまるところ土地の活用を図り、収益を生むということで、更地に「貸家建付地」、すなわち賃貸住宅を建てることが理にかなっていることになります。
 
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物件の総体的評価(価値)の精度を高めることから、より重要性を増す

 賃貸物件(賃貸住宅)に対する管理の概念とかノウハウは、ここ10年ほど前までは希薄なものでしたが、投資の対象として活発に取り引きされ、収益を上げるために色々な工夫が必要ということを追求していく段階で、新しい管理の手法が生まれ、広がりを見せている、というのが最近の流れではないでしょうか。
 
 とくにJ-REITが登場して以来、運用額の規模が拡大するというのは莫大な資金を投じている多数の投資家が存在するということですから、投資家に収益を還元するシステムに問題が起きないよう、市場の特性を汲んで、良質な不動産ストックの形成に管轄官庁が投資環境を整備、強化しているところです。
 
 デューデリジェンスも投資家保護、市場整備の流れの中で不動産鑑定レベルからキャッシュフロー(収益)、リスク分析まで評価基準を広げ、総合的に調査・評価することを狙いとして広まりつつあるものです。
 
 不動産投資市場の整備に関するあり方を検討している国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会では、現在の不動産投資市場には特性があるとして、「投資対象として大きなリスク要因となる隠れた瑕疵につき、他の投資対象商品には見られない専門的な調査分析を行うための職能や業務が分化独立しつつあること(デューデリジェンス、耐震診断、アスベスト等)」を挙げています(『投資家が安心して参加できる不動産市場の在り方』より)。
 
 つまり、耐震構造偽装問題や、アスベスト問題を踏まえ、物件の「リスク要因・瑕疵」を正確に捉えておく必要があることを示し、そのためにも今後は、物件の総体的評価(価値)の精度を高めることからデューデリジェンス(事前詳細調査)がより重要性を増すというものです。
 
 アパート・マンションを建てて賃貸経営を始めると、ひたすら日々の仕事に追われることになるのですが、賃貸経営(賃貸物件)を投資の側面から捉えると、リスク情報の扱いがひときわ重要であるということです。

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