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“私の大学”とロートレック

☆エンジェルのほほえみ(花岡京子)


            “私の大学”とロートレック  


   歌人・与謝野晶子が情熱的な短歌集『乱れ髪』を出版した1901年に、画家ロ
  ートレックはパリから離れたマルメロで死去しました。享年36歳。

    ロートレックの絵は、誰が見ても分かりやすい。まず、色づかいが華やか。
  扱っている題材は人生の底辺模様が多いのですが、基調になる色は明るく、濃
  密で華麗なタッチが絶妙。彼は知られている通り、南フランスの伯爵家の長男
  として生まれてきたものの、13、4歳の頃、二度にわたって事故を起こし両足
  を骨折、以来、下半身の成長が止まってしまったのです。
  
   17歳になって本格的に絵を学び始め、モンマルトルにアトリエを構えて、こ
  こを“私の大学”として夜の巷に生きる人々を描き、『ラミにて』『ムーラン
  ルージュのダンス』『帽子屋の女主人』など、数多くの名作を残します。

   パリという大都会の酷薄さと人間の欲情が渦巻くムーランルージュでの生活
  を通して、人間の性を見事に描く。しかも踊り子や芸人、道化師、娼婦らを取
  り上げてもいやらしさがない。それは世上、王家の血筋を引く由緒ある貴族の
  家系からくる品格、育ちのよさに負うといわれていますが、やはり当人の人柄
  だと思います。

   ロートレックの絵が100年後の今も鮮烈に光彩を放っているのは、 題材の
  ユニークさもさることながら、鋭い人物観察と、明るい色づかい、明快な構図
  だと思います。社会の底辺に生きる人を、けれんみなく描いているのは、当時
  の印象派作家の中でもロートレックぐらい。

   それにしても、26歳頃から10年間に制作した石版画のポスターが31点。印刷
  工場の片隅で、色合わせをし、刷り上げたポスターを持って夜のパリの壁面を
  不便な足で貼り回る姿を想像すると、人生を感じてなりません。

   来年のカレンダーが店頭で売られる季節になりましたが、絵画作品を扱って
  人気のあるのは、ピカソ、ルノアール、ゴッホ、そしてロートレックなどです。
  絵が単に上手く描けているというだけでなく、年月の変遷を感じさせることな
  くテーマがきっちり表現され、いつ見ても人の気を引いて、新しさを失ってい
  ないものが人気の秘訣となっています。

   なぜか、死後にしか名声が得られない天才達の絵を、あなたの部屋にも飾っ
  てみませんか。


  (2000.11.17)

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