「グーグルマップ」賃貸情報サービス開始 (2010年8月17日)
「グーグルマップ」賃貸情報サービス開始
使い方はシンプルで、土地の名前と『不動産』と入れるだけ
検索エンジンのグーグルがインターネット地図サービス「グーグルマップ」で、賃貸情報を検索できる機能を加えた、と8月13日発表しました。もう見られましたか。
普段インターネットを使う際、パソコン操作で、当たり前のように使っているグーグルの地図に、賃貸物件が表示されるようになったのです。
ご存じの通り、グーグルの地図検索には地図の役割ほか、航空写真やストリートビュー、近辺の店や各種サービス情報があわせて利用できます。今回、ここに賃貸物件の情報が新たにプラスされたものです。
使い方はシンプルで、グーグルマップにアクセスして、検索ウインドウに賃貸住宅を探している土地の名前と『不動産』と入れるだけ。そうすると、入力した土地周辺の賃貸物件がマップ上に表示されます。
賃貸住宅を探している消費者には、これほどありがたいサービスはありません。各種の情報にはリンクが張られていますから、マウスをカチカチするだけで途方もない情報ワールドに広がっていきます。
今のところ(株)ジアース(旧アイディーユー)一社の情報ですが、現在126万件で毎日万単位に増えているので、この先そう遠くない時期に200万件を突破するのではないでしょうか。
賃貸・ポータルサイトをなぎ倒す危惧
不動産会社のみが物件掲載可能で、しかも登録が無料ですから掲載物件数が拡大するのは目に見えています。
ジアースが独占する形をとっていますが、グーグルとしてはジアース以外に何社かとの提携の意向を持っていますので、この先、ジアースのほか数社が参画ということになるかもしれません。
そうしますと、先の200万件も拡張し続け、市場に出回っている物件の大半が「グーグルマップ」に登録されることになりかねません。
グーグル日本法人も情報の寡占化を狙っているはずですから、今後意外と早い時期に賃貸物件情報はグーグルに集約されそうな感じを受けます。
ここ10年の間に社運をかけて技術の壁を克服し、資金を投じて賃貸・ポータルサイトを築いてきたサイト運営会社がなぎ倒される危惧すら感じます。
賃貸ポータルサイトには、エイブル、アパマンショップ、ピタットハウスなどの不動産業会社系とHOME'S、アットホーム、SUUMO、CHINTAI、アドパークといった情報会社系に大別されますが、グーグルの影響をまともに受けるのは後者の情報会社。
各サイトとも物件情報以外にコンテンツの充実を図ってアクセス数の増加に努めていますが、住居を探す消費者にとって何カ所も探しにいく手間がいらず、お気に入りの物件が探せるのですから、情報の集中は自然の流れになりそうです。
かつては、新築の人気物件は専任として不動産会社の間で取り扱ったものですが、今ではそうした傾向が弱まっているだけに、オープンになった空室情報が分かりやすく地図上に一覧状態になるグーグルマップは、これからジワリと業界に影響を及ぼしていきそうです。
今回、グーグルの「賃貸情報検索サービス」の参入で、賃貸・ポータルサイト間の覇権争いは一気に火を噴いた様相で、競争はますます激しくなると予測されます。
最後に、「グーグルマップ・賃貸情報」が投げかける影響について挙げてみます。
1.使いやすさから、急速な広がりを見せる。
2.賃貸ポータルサイト運営会社の経営圧迫が懸念される。
3.賃貸専門大手不動産会社・FC戦略に転換が生じるのでは。
4.賃貸オーナーの不動産(管理)会社選択がよりシビアになる。
といったことではないでしょうか。
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(2010.8.17)