「ゼロ・ゼロ物件」に一工夫 (2009年12月8日)
「ゼロ・ゼロ物件」に一工夫
弱含みの賃料相場にさらに拍車がかかる
安いことはいいことだ。というのは消費者心理の偽りのないところ。
世は不況風を吹き払うため、安値志向が強まる一方。しかし、その一方でデフレスパイラルが経済の悪循環を招き、景気回復を脅かしています。
賃貸市場においても景気の動向に敏感に反応して、仲介現場では弱含みの賃料相場にさらに拍車がかかっているようです。
空室にしておくより少々条件を下げてでも賃料収入を得たいといった経営者心理が働いているのは間違いないよう。
契約の条件を下げるとは、礼金をなしにしたり、敷金を3ヵ月から2ヵ月に、2ヵ月から1ヵ月にと、1ヵ月分下げる。そして礼金、敷金の両方ともないのが「ゼロ・ゼロ物件」。
ゼロの上に、入居後最初の1~3ヵ月程度の家賃をタダにするというサービスがジワッと増えているようです。
当初、1ヵ月から3ヵ月分の家賃を丸々サービスする、そんなバカな商売は考えられないと見られていたのですが、3ヵ月サービスする代わりに向こう2年間程度入居を確約するというのは、それはそれなりに合理的な考えだとする見方が広がりを見せているのです。
昔から小売りなんかで3つ買えば1つはおまけにするという商法があったのですから、空室状態で無収入であるよりましだろうと苦肉の選択で、スタートしたものです。
仲介する不動産会社(大阪)の声を聞いても、入居の契約決定を迷っている入居希望者の背中を押しているのは確かなようです。
敷金は万一の際の担保ですから、担保を下げると入居者の負担が小さくなって、その分入居の促進につながります。しかし担保がなくなったり解約、退居に伴って入ってくる敷き引き、解約引き金がなくなると、原状回復に要する費用の工面等や経営上のリスクが大きくなってしまいます。
長野市ではこうした敷金、礼金の代わりに「内装工事費」として、修繕費を入居者に負担してもらう制度が新設されているといった報道があります。「県内賃貸 増える礼金・敷金ゼロ 家主、収入確保に工夫」(Web『信濃毎日新聞社』
商売の知恵で、新しい時代に合った方法を取り入れている一例がここにあります。
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(2009.12.8)