「空き家」を横目に旺盛な意欲見せる新設着工 (2009年2月6日)
「空き家」を横目に旺盛な意欲見せる新設着工
昨年1年間に新設着工された貸家は46万4763戸、前年比5.2%増です。これは過去10年間で4番目に当たる実績で、4年前の2004年とほぼ同水準。
一昨年が改正建築基準法による建築確認手続きの遅延によって前年比18.7%の減少を見せた影響が、ほぼ解消され、その反動として伸びたのが昨年実績と見られています。
賃貸仲介現場では新築の数が限定された分、市場の流通が細ったとの声が一部にありましたが、新築の供給ペースはそれほど落ち込んだわけではありません。
建て替え、賃貸経営への新規参入意欲は依然根強く、その傾向は強まりこそすれ弱まっていない、といってもいいのではないでしょうか。
5年に1度行われる総務省の「住宅・土地統計調査」が昨年10月に実施され、現在集計が進められて、「速報版」が5月頃には一部公表されますが、注目されるのはやはり「空き家」の実態。
5年ごとの調査ですから、期間が5年開いている分、算出される数字も大きく、それだけショック率も大きいということになります。
過去の調査では、
・2003年…… 空き家率 12.2% ・ 空き家数 659万戸
・1998年…… 〃 11.5% ・ 〃 576万戸
・1993年…… 〃 9.8% ・ 〃 448万戸
・1988年…… 〃 9.4% ・ 〃 394万戸
と、こうした数値をグラフで表せば急カーブを描いているのが分かります。
このカーブの伸び具合に歩調を合わせて貸家マーケットは借り手市場となり、経営が難しくなっているのはよく知られている通りで、多くの大家さんが実感していることと思います。
過去10年間で4番目の記録となった昨年の貸家の新設着工戸数は、ちょうど「空き家」を横目に見ながら旺盛な建設意欲を見せる、といった市場の実態を物語っているのではないでしょうか。
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(2009.2.6)