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あれば便利な「不良入居者リスト」だが・・(2009年8月21日)

◆ 賃貸ビジネスを考える

あれば便利な「不良入居者リスト」だが・・

 以前からあれば便利で、随分助かるのではないか、しかし運用には相当慎重でないと社会から指弾を受けることになりかねない、と思っていた「不良入居者リスト」の作成計画を伝える新聞報道があったのがこの8月15日。ところが5日後の20日には、データベース構想の見送りを伝えています。

 議論が生煮えのままで朝日新聞がスクープしたのでしょうか。15日に朝日が取り上げた後、後追いする他紙がなかったので、ひょっとしたらプランニング段階の事例が膨らまされたかと思っていたのが、結果としてその通りになってしまいました。

 あれば便利なんでしょうが、賃貸入居者の入居履歴(信用情報)をストックしてデータベース化することは、便利さの半面、取り扱いには極めて要注意の個人情報となるのは明らかです。

 例えば、資本金数百億円、東証一部に上場する地方銀行の担当者は、口座から残金不足で引き落としできない顧客に「こんなことが何回も続けば、金融のブラックリストに載せますよ」と頭から脅しにかかってくる。

 銀行マンとしての資質にもよるのでしょうが、この担当者は、普段お世話になっている預金者という感覚が飛んで、いきなり引き落とし不能者→ブラックリスト掲載脅しに発展する。「ブラックリストに載せる」という脅し文句、やはり効果満点で、たいていは驚きあわてて入金に走ると思います。

 これはブラックリストに関係ないことですが、国民生活金融公庫(現国民政策金融公庫)は融資する際、中小企業経営者に融資額と同額の団体信用生命保険への加入を執拗に迫ります。万一のことがあれば団信の保険金で融資金をカバーする魂胆で、もちろんのこと団信の加入料は融資者負担となります。

 それと国金の融資の際、建前は団信加入を融資条件にしていません。 全国展開する名の知れた地方銀行でさえ、普段の日常業務で預金者に「ブラックリスト」をかざしてきます。この地方銀行と国金の話は、金融の現場はこれほどシビアに業務をこなしている例。

 今回、日本賃貸住宅管理協会が主体となって進めようと計画している入居者の信用情報のデータベースの構築にブレーキをかけたのも、前述した銀行の例のように、「ブラックリスト」が一人歩きするのを恐れたからではないでしょうか。

 ただ、社会のモラルハザードは相当なもので、家賃滞納で苦労する家主、管理会社は年々増え、「連帯保証人」の効力も弱くなっていることから、自衛のルールづくりの必要性が迫られたのですが、もう少し時間をかけて煮詰めていく必要がありそうです。

 それにしても、「家賃滞納リスト構想」の朝日の記事、他紙はどうして取り上げないのでしょうか。こちらの方が不思議ですね。

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(2009.8.21)

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