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京都地裁の「敷引特約」は無効とする訴訟について (2008年10月24日)

◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

京都地裁の「敷引特約」は無効とする訴訟について

  
長年の商習慣で行われてきた賃貸ビジネスにも時代の風が吹きつけています。
  
この10月21日、京都のNPO法人(特定非営利活動法人)京都消費者契約ネットワークが京都地裁に起こしていた消費者団体訴訟制度に基づく「敷引特約」は無効とする訴訟で、訴えられていた会社はNPO法人の請求を全面的に受け入れることが決定しました。
  
訴訟自体はまだ継続しているのですが、原告勝訴したと同じ効力があるといわれる認諾調書の作成に同意しています。2007年にスタートした消費者団体訴訟制度で、解決が図られた全国初のケースとなっています。
  
賃貸住宅に入居する際に払い込んだ敷金が、解約・退居時に天引きされる敷引は、消費者契約法に反することから「敷引特約」は無効というのが原告の主張で、今回の京都地裁では判決が出る前に、会社側が請求を受け入れたものです。
  
賃貸経営者は一般的に、入居者の退居があって、次の入居者を迎えるために傷んだところを修理して、部屋全体をクリーニングするのに必要とする費用を敷引で賄おうします。ところが、ここ10年来の敷引特約に関する裁判所の判決では、自然損耗等の回復費用を賃借人が負担とすることに対し無効とする姿勢を明確に見せています。
  
この敷金に対する敷引、保証金に対する解約引は、以前から見られるのですが、敷金の全額返還が社会問題化した頃から急速に広まり、差し引かれる敷引金額が大きくなる傾向にありました。
  
入居時の賃貸借契約で特約として敷引を明記、貸主、借主ともに合意して契約を結ぶケースが増えていたのですが、やはり全員が納得したというのではなく、中には異を唱え訴訟に発展するケースもあるわけです。
  
とくに、消費者意識の高まりとともに、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」(第十条)とする見解は、政府の「消費者庁」の開設と相まって、今後さらにクローズアップされるのは十分に予測されます。
  
このように、冒頭に述べた通り、賃貸経営で従来当然のように行われてきた商習慣が時代の動き、社会の変化とともに少しずつですが、変質を余儀なくされてきています。
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(2008.10.24)

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