北野琴奈氏・インタビュー -1-
特別インタビュー

FP兼不動産投資家
北野 琴奈氏
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会 CFP®認定者
日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
ご自身が賃貸経営を実践されていることから、
賃貸経営の真髄を含蓄ある言葉で、
やさしく語っていただきました。
FP兼不動産投資家・賃貸経営者として、
講演・執筆・資産運用アドバイザーなど、多方面にわたり活動中の北野琴奈氏に
不動産投資、賃貸経営のあり方などについてお聞きしました。
収益物件はある程度時間をかけて育てることも必要
基本的には、賃貸事業は自分でつくっていくものですね
成長を遂げて飽和状態になると、自然多様化します
マーケットのニーズにいかに対応するかが大きな課題
── 現在の賃貸住宅マーケットをどのように捉えておられますか。
北野 一言で言えば難しい状況にあることは確かだと思います。ただ、難しい中にもいいことがあるのではないか、と捉えています。
たとえば、高齢者の増加が見られることから、高齢者向けの賃貸住宅の需要が確実に増えていますし、外国人向け賃貸住宅の需要も増えていることです。
また、新しい賃貸ニーズといえるシェアハウスなども一定のマーケットを形成するなど、旧来にない需要が膨らんでおり、そうした社会のニーズを汲み取って、セグメントしていけばまだまだ成長の伸びしろがあるのではありませんか。
どのような業界にも通じることですが、成長を遂げて飽和状態になると、自然多様化していきます。そこでいかにマーケットのニーズに対応するかが大きな課題ではないでしょうか。
── 不動産投資に対して、東日本大震災の影響をどのように見ておられますか。
北野 投資家は基本的には、今まで同様に好条件の収益物件を要望しています。震災後もこうした傾向はあまり変わっていないと見受けます。
ただ、東京あるいは首都圏だけの物件に集中するのではなく、福岡とか関西方面の物件という風に、地方に分散の動きも出ています。さらに投資先を海外に目を向けるといった動きも出ています。
それと賃貸経営については、震災が原因で家賃が下がったといった感じは受けませんが、物件を探している人は耐震性などを気にしているようです。
── 震災の影響を含め、入居者の傾向などで、最近何か賃貸マーケットの変化を感じますか。
北野 やはり、お給料などの収入面で総額が限られている中で、支出のどこを削っていくかといった傾向が強まっていますから、今まで家賃にかけていたお金を少し低めにするなどといった流れはあるでしょうね。
賃貸経営においても、こうした社会の大きな流れを見間違わないように常に全体を見て、気を配ることを忘れてはいけないと思います。
ハード面とソフト面、両面について意識し、
十分に配慮することが必要
── そこでズバリお聞きします。多くの大家さんが悩んでおられる「空室対策」を教えてください。
北野 私自身、空室対策については苦労しています。私が思うには空室対策は、ハード面とソフト面、両面について意識し、十分配慮するということです。
どういうことかと言いますと、ハードとは住居の設備ですね。温水機能付き便座とかキッチンのIH調理器とか乾燥機付き浴室など。でも、設備を充実することでオーナーさんはそれで結構満足するのですが、果たして住居を探している人に、どれだけ住宅の設備に関する情報が浸透しているかです。
そこでハードに対するソフトの課題があるのです。この場合のソフトとは、入居者募集で仲介業者さんを通じて案内して、色々なやり取りの中で決まっていく過程とか、契約決定に至る営業全般を指しています。
つまり、空室を埋めるには、入居者のニーズを汲み取った設備を充実させる一方で、契約促進に動いていただく仲介業者さん向けのケアも大事だということです。物件の持つ特徴や内容なんかを仲介業者さんに十分に理解してもらう努力も必要になってきます。
オーナーさんがお金をかけるにも、ハードにかけるのか、仲介業務などのソフトにかけるのか、その全体のバランスを考えることが非常に大事だと思います。
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