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原状回復と敷金返還トラブルに思う (2010年3月19日)

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◆ 賃貸ビジネスを考える


原状回復と敷金返還トラブルに思う

賃貸経営者がどこまで自己負担するか、にかかっている

今、春の引っ越しシーズンまっただ中、賃貸仲介ビジネスも大忙しです。

この時期に合わせて行政(消費者生活センター)は、札幌から沖縄までのほぼ全国で「賃貸トラブル110番」を設けて、トラブル発生への注意を促し、臨時の相談会を開いています。トラブル発生の原因は、原状回復と敷金返還に関することが圧倒的に多い。

そこで、ふとこんなことを考えました。

賃貸経営をやっていると退居者が出ます。次の入居者を迎えるために、壁のクロスや畳表を張り替えたり、古くなって傷んだ備品類を交換したりします。

建ってさほど間のない物件なら手を加えるところも限られますが、築15年も過ぎると、見映えとともに傷んだ箇所の修理に思わぬ出費となります。

こうした出費には、敷金や保証金から一定の金額を差し引いた敷引金や解約金を充てたり、入居一時金、礼金などの臨時収入のお金を充当します。

中には入居者の明確な不注意で発生した瑕疵に対しては、話し合いのもと別途請求することもあります。

ところで、賃貸市場を取り巻く環境といえば、礼金、更新料、敷引きの取り扱いに対して、賃借人に有利な流れが加速し、裁判所の判例を見ても消費者(賃借人)を擁護する姿勢が明確になっています。

仮に退居時にチェックしたところ何らかの修理か補修が必要とする「損耗・毀損」が10ヵ所あったとする。

それを退居立ち会いで、「経年変化・通常損耗」と「故意過失」を見定めたところ、「経年変化・通常損耗」に当たるのが6ヵ所、「故意過失」に当たるのが4ヵ所あった場合、4ヵ所の修理分を賃借人に負担してもらえば公平なんでしょうが、例えば1枚のクロスに、「経年変化・通常損耗」部分と「故意過失」部分が混在していると、クロス張り替えの経費を責任の割合で負担するといった簡単な方法では済まない。

こうした原状回復、敷金返還問題を煎じ詰めれば、退居に伴う原状回復と次の入居者を迎える準備に要する費用を賃貸経営者がどこまで自己負担するか、にかかっているのではないでしょうか。

クリーニングを含む原状回復に25万円かかったとして、敷引き、あるいは解約引きで入ってくるのが15万円とした場合、残り10万円をどう工面するか、です。

先行投資として10万円を経費と捉えて出費するのか、この10万円も退居する賃借人に負担してもらうのか。ここの判断にかかっているのが正直なところではないでしょうか。

また、「古くなった設備等を最新のものに取り替える等の建物の価値を増大させるような修繕等」は、賃貸人負担といわれるだけに、クリーニング・原状回復工事の判断が難しいと思います。

賃貸生活が長く、原状回復問題を数多く見てきた筆者の感想ですが、大家さんから見ていかが思われますか。

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(2010.3.19)


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