賃貸経営、管理、土地活用、不動産投資など賃賃ビジネスに役立つ最新ニュース

家賃の滞納を巡るトラブルの多発 (2009年5月19日)

◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

家賃の滞納を巡るトラブルの多発

家賃の滞納を巡りトラブルが各地で起こっています。

トラブルを大きくしているのは、
・不景気で収入が落ち込み、家賃が払えないといった層が増えたこと
・近年見られるモラルハザードの広がりで滞納、踏み倒しが増加
・敷金、礼金なしの「ゼロゼロ物件」の広がりがトラブルの引き金となる
・家賃保証・回収会社など督促のプロ達が容赦のない取り立てをする
 ことなど。これらが相まって、賃貸環境を厳しくしています。

中でも社会問題となっているのが追い出し屋といわれる保証・回収会社の行為。さんざん報道されているように、
 ・無断で借家内に侵入された
 ・無断で鍵を交換された
 ・無断で所有財産を処分された
 ・強制的に退居させられた
 ・執拗な督促がなされた
 ・高額な違約金を請求された
など、一線を越えた督促行為から、裁判所に提訴され、東京地検特捜部に告訴される事案まで起きています。
 
ここ2、3ヵ月に提訴された事例を見ると、
 ・「ゼロゼロ物件で告訴」(3月10日)東京都
 ・「追い出し屋被害全国一斉提訴」(4月11日)東京、大阪、兵庫、奈良、宮崎
 ・「賃貸追い出しは違法」管理会社など提訴(4月15日)東京地裁
 ・「家賃滞納で強制退居 慰謝料求め提訴」(4月16日)広島地裁
 などとなっています。

これらの提訴の被告人は保証会社、管理会社に次いで、賃貸人(賃貸経営者)が多いのが目を引きます。

元来、家賃の滞納は商品を購入してもお金を払わないとか、おいしいものを食べた後お金を払わない無銭飲食と同じで、払わなければならないお金を払わないために責任が問われているものです。

が、しかしです。
やはり手順があります。

入居者は借地借家法で権利が守られ、物品を購入した消費者は消費者法で手厚く保護されています。東京都の場合などは、消費生活条例で不適正な取引行為の禁止を許していません。

 時代は年々、消費者の権利を守り、手厚く保護する傾向が強まり、関
連する法律が整備されています。

こんな時代に、常軌を逸した執拗な督促や賃貸借契約を交わして住んでいる住居への無断侵入は許されず、社会全体でブレーキをかけ、法の遵守を求めるものです。

しかも不況に直面して、職場を追い出された弱者に手を差し伸べ救済のムードが高まっている時に、その生活弱者を追い出すプロの活躍が厳しく取り締まられるのは当然の流れだと思います。

賃貸経営を脅かす家賃滞納は昔からありましたが、その数は少なく、通常の督促や明け渡しの話し合いで穏便にすんでいたものです。しかし滞納者が増える一方で、保証会社のビジネスが広まったことから、債務回収、明け渡しが一気に効率一辺倒になった結果が、昨今の追い出し屋被害というものです。

今後、行政の指導で法整備されて是正されるべき点は改められると思われます。

───────────────────────────────────────────────────────
(2009.5.19)

画像の説明

>> ◆ コラム「賃貸経営の今を読む」の2009年・バックナンバー目次ページに戻る

powered by HAIK 7.2.5
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. HAIK

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional