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家賃滞納者のデータベース化動き始める(2009年11月13日)

◆ 賃貸ビジネスを考える

家賃滞納者のデータベース化 動き始める

データベースの実用化で、賃貸・管理の近代化に一歩踏み込む

 家賃滞納者のデータベース化がいよいよ世論を二分する形でスタートを切ろうとしています。

 賃貸住宅の家賃保証会社が入居者の家賃滞納歴を登録するデータベースをつくるのに、これほど神経質になるのは、住基ネットや国民背番号制といった、ある目的を持った情報のデータ化に対する本能的な反発と、やはり人の生活権の根幹にかかわる住生活に直結するものだけに、慎重にならざるを得ない性格を持っていると思います。

 ですから、人権を第一と考える日本弁護士連合会の「社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会『中間とりまとめ』に対する意見書」や日本司法書士会連合会の「家賃滞納等のデータベース化の中止を求める会長声明」を読んでみますと、しごくごもっともだと思います。

 しかし、ビジネスを展開する上で、リスクを極力軽減するための債務の担保を図る方策ともいえるデータベースの構築に対し、これほど賛否渦巻くのは「住まいは、国際規約や憲法等においても居住権が保障されているように、人々のくらしにとって最も根幹的な生活の基盤であり、これを金融分野における信用情報と同様の経済性重視の視点から考えるべきではない」(日司連)に極論されるのではないでしょうか。

 少し古い話ですが、こうした例は今でもよくあると思います。スーパーマーケットの旧D社が発行していたクレジットカードのOカードの加入を募るのに、店内で執拗に勧誘して、いざ申込書に記入して待っていると「今回はお断りします」と、にべもない返事。

 店で買い物するのに、およそ5%のサービスが付いているという程度のカード発行の審査に旧D社はリスクを回避するために所有するデータベースに問い合わせています。

 データベースがないとカードの加入勧誘など、おちおちできないはずで、新規カードの発行の判断をデータベースの機能に頼っています。

 普通、買い物や食事をして支払いの段になって、今はない袖は振れませんから支払いはできません、などといったことがまかり通ることはなく、無銭飲食や代金不払いで警察のお世話になってしまいます。

 家賃滞納も同様の理屈となるはずですが、住居は人が生きていくために絶対必要なものですから、いざとなれば「生活権」と「人権」が全面に出て、損得で一概に判断できないことになります。

 ですから生活権の観点から日弁連や日司連の声明を読むと、ごく自然な内容に受け取られるのです。

 しかし、賃貸経営はビジネスで、利益を出すために損失発生の部分を最大限にガードする必要があって、空き部屋対応や、家賃滞納に賃貸経営者、仲介管理会社は日々悪戦苦闘している次第。

 今後、連帯保証人に代わる保証会社の役割は、時代の要請としてますます広がっていくと予測され、データベースの重みが増すと見られます。

 ただ、入居者と最初の接点となる仲介不動産会社の段階でどのように利用されるのか、まだまだ紆余曲折があって、実用化には課題も多く、時間的にも先になるはずで、その時、市場はどうなっているのか。

 それでもこのデータベースの実用化は、賃貸・管理の近代化に一歩踏み込んだのは確かだと思うのですが、皆さんはどう思われますか。

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(2009.11.13)

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