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満室経営でスタートする。 (2009年6月16日)

◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

満室経営でスタートする。

 直近の4月における貸家の新設着工数が、前年同月比マイナス33%、5ヵ月連続の減少を見せつけています。
  
 各シンクタンクから発表される調査レポートには、「金融機関からの融資厳格化。資金繰り悪化」が着工大幅減の理由として挙げられていますが、根本は物件余りが市況を軟調にして、賃貸経営にストレートに響く入居率が落ち込んでいることが、住宅着工が伸びない背景にあると見られます。
  
 第一、賃貸経営を始めるオーナーの大半が個人でしかも年配者が多いのですから、周辺の物件に空室が目立っている現状を目の前にして、二の足を踏むのはやむを得ないかもしれません。
  
 そこで題目の「満室経営でスタートする」なんですが、賃貸経営を始めるからには満室経営を実現したい、賃貸経営は本来、満室経営であるべきなのに…、という思いを述べているのです。満室といっても建設される賃貸住宅は、だいたい6戸から30戸クラスが主流。
  
 6~30世帯が入居するわけですが、例えば人口3万5000人程度、世帯数およそ1万2000~3000の地方都市で新設した場合、6~30世帯を吸収できないというのは、根本的に「マーケット」に問題があるのではないでしょうか?
  
 なぜこんなことを言うのかといいますと、ガソリンスタント跡地に建てた8戸のアパートが、1年も経つのにいまだに2戸空いている現実。立地する市の人口は約3万6800人ですが、車で10分ほどの物件に隣接する周辺の市の人口を足してみると36万人にもなります。
  
 いわば36万人のマーケットを相手にして、8戸を満室にできない。何か変です。
  
 当然、周辺にはアパートからマンション、戸建ての貸家など競争相手が目白押し。半世紀を経た木造のアパートから、全戸インターネット完備、オートロック、宅配ボックス、暖房乾燥機能付きユニットバス等々、最新設備を備えた新築まで、競合する物件がひしめいています。
  
 これは大阪周辺の話を書いているのですが、この傾向は多分、全国で見られる現象ではないでしょうか。
  
 つまり「満室経営でスタートする」ためには、マーケットの実態を完璧に捉えて、立地の分析から建物の仕様、管理のあり方までを総合的に理解した上で、賃貸経営を始めるべきなのです。
  
 満室あるいは高入居率が維持できないと賃貸経営の投資効果は薄れるのですから、満室・高入居率が実現できない土地での賃貸経営は、よほど見通しが明るくないと、慎重であるべきでは。
  
 それを決定するのが「マーケット」に聞くことではないでしょうか。

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(2009.6.16)

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