相次ぐ大手企業の参入(2009年2月10日)
相次ぐ大手企業の参入
今年に入って、賃貸住宅業界に本格参入する大手企業の経営戦略が目立つ。
昨年来、景気の悪化を反映して持家、分譲住宅の需要が鈍っている半面、依然堅調な市場の伸びが見込める賃貸マーケットにターゲットを絞ったことから、大手企業の参入意欲が高まったもの。
下記の事業内容は、大手企業の参入や積極姿勢の傾向を示す事例として、ここ1ヵ月間に公表されたものだが、このほかにも水面下で進んでいる事業プランも当然あるわけで、今後表面化する分と含め、大手企業の動向が注目される。
・ミサワホーム
木質系のアパート、都市型3階建て賃貸住宅全国発売(1月7日)
・NTTデータ
新サービス「賃貸経営HOME4U」開始(1月19日)
・ニフティ
「住まいを貸す」コーナーをオープン(1月27日)
・野村不動産アーバンネット
「野村不動産グループの賃貸マンション」コンテンツを提供(1月29日)
・トヨタホーム
「車と住まいの融合」を目指し、高級賃貸住宅を全国展開(1月30日)
・東京急行電鉄
高級賃貸ブランドを立ち上げ、賃貸住宅事業に本格参入(2月9日)
大手企業が賃貸事業に対して見せる進出意欲の背景にあるのが、賃貸住宅の“堅実な成長”。厳しい市場環境にあるものの、今年度から来年度にかけておよそ44万〜47万戸の新規需要を見込んでいる。
このほど発表された国土交通省調べによる、貸家の2008年1〜12月1年間の新設住宅着工戸数は、前年比5.2%増の46万4763戸。
これに対し、今後の予測として、
(社)住宅生産団体連合会まとめ、
・2008年度の賃貸住宅の新設住宅着工戸数の予測 …… 44.8万戸
・2009年度の賃貸住宅の新設住宅着工戸数の見通し…… 43.9万戸
(財)建設経済研究所と(財)経済調査会経済調査研究所まとめ、
「建設経済モデルによる建設投資の見通し」
・<貸家>2008年度 …… 46.7万戸
・<貸家>2009年度 …… 46.7万戸
などが公表され、新規需要に期待が寄せられている。
今年の賃貸業界は大手企業の参入を交え、より入居者のニーズに応える高級化指向と空室を抱えた物件による市場の二極化が鮮明になる年になりそう。
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(2009.2.10)