貸家の新設着工戸数、6ヵ月連続減少の背景(2009年7月3日)
貸家の新設着工戸数、6ヵ月連続減少の背景
賃貸住宅の建設に、ブレーキがかかっています。
国交省が発表した直近の5月の貸家の新設着工戸数は、前年に比べマイナス33.3%の2万5,167戸。今年の1~5月の合計では前年比でやはりマイナス25.3%と4分の1減少しています。
これを地域別に見ても、前年比で北海道がマイナス56.7%、中部がマイナス45.7%、近畿がマイナス39.8%、中国がマイナス45.9%、そして九州がマイナス54.2%と、軒並み大幅な落ち込みとなっています。
こうした現象をシンクタンクの第一生命経済研究所の定例経済指標レポートでは、「貸家の低迷は、着工主の資金調達難などが原因と考えられる。また、一時期は投資対象として注目されていた貸家取得であるが、急速な景気後退によるリスク許容度低下から、このような需要も大きく減退していると考えられる」と解説。
「金融の引き締めによる資金調達難」と「市場のリスクに対する警戒感」から、6ヵ月連続の減少になったものと捉えています。
軟調な賃貸市況の背景にある「市場のリスク」のうち、家賃滞納に対しては、「交渉」で打開策が見出されますが、「空室対応」には、市場の構造的な問題を抱えているため、何分右から左へとそう簡単に答えが出てきません。
昨年10月、5年に1度の「住宅・土地統計調査」が実施され、その結果がもう少しすれば総務省から公表されますが、この中で、「空き家」がどのように拡大しているか注目されます。
規模の大きな調査だけに、5年に1度の割りで実施されるこの調査で、わが国における住宅事情、さらには空き家の実態が詳細に分かります。
空き家の様子が明らかになることで、市場の見方がまた違ってくるのではないでしょうか。
ただ、賃貸経営に注がれる投資家や土地オーナー等の視線は、依然熱いものがあって投資意欲も強いだけに、市場は基本的に厳しい競争が今後も続くものと予測されます。
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(2009.7.3)