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賃貸「更新料は無効」初判断について(2009年7月24日)

◆ 賃貸ビジネスを考える

賃貸「更新料は無効」初判断について

 「更新料」の取り扱いについて昨日(2009年7月23日)、京都地方裁判所で新たな判決が出ました。

 賃貸住宅の契約更新の際に、家主が更新料の支払いや敷引特約を借主に求めるのは、消費者契約法違反だとして、男性会社員が、支払い済みの更新料の返還を求めた訴訟で、全額返還を家主に命じました。

 今回の判決で特に注目されるのは、「更新料支払いや敷金・保証金の敷引特約を借主に強いるのは」2001年に施行された消費者契約法に違反していると判断した点。

 賃貸借契約書を交わす時に「特約」をいくら取り決めても、借主が一方的に不利である場合、無効とされる判例が続いていたのですが、いよいよ消費者契約法に照らしても無効とする判決は、やはりシビアなものがあります。

 報道では「消費者保護の動きを加速させる画期的な判断だ」(朝日新聞)と、原告側弁護団の声を紹介していますが、貸主、借主両者合意の上の特約があっても「借主側に負担させる合理的理由はなく、契約は無効だ」(同)という司法の判断が今後、賃貸市場に広まっていくのでしょうか。
 
 更新料は、「賃貸借契約」が更新される時に借主から貸主に支払われる一時金で、借地借家法などの法令で明確に規定されているわけではなく、礼金等と同じく地域の慣習によるところが大きい。全国的に見ても更新料が支払われている地域と、全く支払われていない地域とに分かれています。

 ただ、入居者側からすれば、契約更新のたびに支払う抵抗感が強くなっていることもあって、当初の契約段階で更新料の支払い義務を契約書の「特約」に明記、支払い義務化するケースが増え、当事者間の合意があれば有効とみなされてきました。

 ところで、(財)日本賃貸住宅管理協会の「賃貸住宅景況感調査」(2009.7)データでは、更新料の取り扱いについて、全国では「増えた・やや増えた」が7.4%。「変わりなし」が79.5%、「やや減った・減った」が13%と大きな変動は見られませんが、地域性が強く、傾向として更新料(特約)は減少しつつあります。

 また、賃貸経営者の全国団体である(社)全国賃貸住宅経営協会が消費者契約法と更新料等について、次のような見解を述べています。

 「消費者契約法の過大解釈をせず、入居者は賃貸借契約を遵守するべきである。敷金は預かり金であり保証金、礼金や更新料は大規模修繕及び原状回復のために必要な運転資金である」。

 昨日の京都地裁の判決を不服とする貸主側は、さらに上級審に訴えていくと見られていますが、賃貸市場において消費者側から更新料を含め、礼金、敷引に対して、厳しい視線が注がれることになりそうです。

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(2009.7.24)

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