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賃貸住宅の新設には、十分過ぎるマーケティングに基づいて計画を(2009年10月27日)

◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

賃貸事業は、マーケティングを軽んじて先の経営が見通せない

賃貸住宅の新設には、十分過ぎるマーケティングに基づいて計画を立案

 賃貸住宅の新設がめっきり減少して、マーケット全体に影を投げかけています。
  
 ここ数年、街中を車で走っているとここにも、あそこにもアパート、マンションが建てられていました。それが今年に入って、新設着工は前年比で20~30%落ち込む月が続いています。中でもこの8月の減少幅は大きく、前年比42.2%の大幅ダウンとなっています。
  
 今年1~8月の新設実績が昨年と比べ36.6%もダウンしていますから、流通する物件に「新築」が減少、賃貸市場への影響は小さくありません。
  
 このように新設が落ち込んでいる理由の一つとして、金融機関の審査が厳しく、容易に借り入れができないことなどが挙げられています。
  
 こうした折り、今時珍しいといいますか、あまり見ない現場に遭遇しました。
  
 大阪郊外、私鉄駅から歩15分ほどのところに、1週間ほど前からD社のアパートが着工されました。現在、基礎工事が進んでいて、近く建物本体が建ちます。その現場なんですが、道を挟んで向いにT社のアパートがあります。
  
 このアパートは上下6戸、計12戸の2階建てで、建って2年ですが、一度も満室にならず、今も2戸空いています。このアパートの東側には同じT社のアパートがあって、ここは2階建て24戸で、やはり空室は常に5~6軒を数えます。
  
 この24戸のT社のアパートの並び20メートルほどのところに、D社のおしゃれなアパート(16戸)が建っています。この3物件の間は、歩いてほんの2~3分の距離、およそ2~300メートル範囲内。
  
 そこに新たにD社(上記のD社とは別)のアパートが建つのです。4軒の物件の所有者は別々で近在の地主。

 これから建つ4軒目をプランニングするのは、賃貸事業をメインとするハウスメーカーD社なんですが、すでに先行する3軒がしのぎを削っているところに、さらに1軒建設されると需給のバランスを一気にタイトにしてしまいます。
  
 新築を建てて、近くの築10年、20年の物件に住む入居者を引っ張るというのは作戦として考えられるのですが、竣工後数年経っても満室に至っていない物件の近くに新設するのは、施主、建設会社ともにリスクを負う羽目になりかねません。
  
 10年の借り上げで10年間の家賃保証があったとしても、賃貸事業は20年、30年の長期に及ぶのですから。
  
 今日の賃貸事業は、マーケティングを軽んじて先の経営が見通せないのですから、立地の分析はいくら慎重であってもし過ぎることはありません。

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(2009.10.27)

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