賃貸住宅経営者の本音と思い (2009年6月2日)
賃貸住宅経営者の本音と思い
今年の1月、金子国土交通大臣が国交省の審議会である社会資本整備審議会(会長張富士夫・経団連副会長)に、「安心して暮らすことができる民間賃貸住宅政策のあり方について」意見を聞きたいと諮問しました。
諮問を受けた同審議会は住宅宅地分科会に付託し、付託された分科会は2月から月1回のペースで審議を進めています。今月も8日に開かれる予定ですが、前回の「滞納・明け渡しを巡る紛争の防止のための仕組み」を審議する席上交わされた、(社)全国賃貸住宅経営協会の「発言」を掲載します。
管理会社や不動産会社と違って、大家さんの全国団体であるだけに、賃貸経営に対する現状の思いが述べられています。
少し長いですが、引用します。
1. 賃貸住宅入居者の大半が平均所得以下である。
2. 賃貸物件情報は、インターネット等にて比較できるが、入居者を調査・選別することはできない。
3. 消費者契約法の過大解釈をせず、入居者は賃貸借契約を遵守するべきである。家賃滞納常習者又は家賃支払能力のない方には、セーフティネット対策が必要である。
4. 家賃滞納等の不良入居者の法的な明渡しに対して、金銭的・時間的なロスが多いため、法制化を図り、早急かつ安価な解決策を講じるべきである。また、夜逃げ等による放置家財、不法投棄の廃棄物、家電製品、自転車・自動車等有料廃棄物処分についても同様である。
5. 原状回復に関する事項の明確化が必要である。また、敷金は預かり金であり保証金、礼金や更新料は大規模修繕及び原状回復のために必要な運転資金である。
6. オーナーの85%が個人で、その6割が60歳以上。中小企業以下の資本力で、事業規模も小さく、かつ事業基盤・経営力も弱い。
・・・など、実感がこもっています。
普段から賃貸住宅経営者と会う機会が多いのですが、上記1~6の内容は決して誇張ではないようです。
家賃が一日遅れただけで、部屋の鍵を交換、部屋に無断侵入し、家賃を督促、部屋内の私物を無断処分する・・といった社会問題化している滞納・明け渡しのトラブルは、苦肉の策として極端に走った事例だと思うのですが、少し甘いでしょうか。
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(2009.6.2)