賃貸経営110番・インタビュー 1
特別インタビュー
NPO法人 賃貸経営110番
理事長
森 政行氏
アパート経営でのんびりと豊かな暮らしが出来る時代は終わりを迎えた、
と現在の賃貸事情を分析する
NPO法人 賃貸経営110番の森 政行理事長に、
何が問題で、どう対応すればいいのか、今後の賃貸業界、
賃貸経営のあり方などをお聞きしました。
賃料を下げずに、多額のお金もかけずに部屋を決める
アイデア次第でそれは十分可能です
一度空いたらなかなか決まらない時代に突入
勉強、実行が必要で、それが出来るか否かで差が開いてしまう
── NPO法人 賃貸経営110番とはどのような団体ですか。4月に新しい理事長になられたとお聞きしましたが。
森 NPO法人賃貸経営110番とは、アパートの大家さん、不動産賃貸経営をされている方の様々なお悩み、ご相談を相談者の立場となり、専門職顧問団と共にお答えし、問題解決をする専門機関です。
多いご相談は、家賃滞納・不良入居者問題・空室増加、及び賃料下落に伴う収益性の悪化・建物の老朽化・サブリース、及び賃貸管理会社とのトラブル等です。時代と共に難しい問題が多くなってきており、不動産経営者の方々は解決に苦労されているようです。
── 2013年の春の移動シーズンはどうでしたか。最近の入居者の傾向などを教えて下さい。
森 2013年の春の移動シーズンの動きは、全体的には昨年の横ばいといったところです。ただし、昨年以上に借りる人の求める条件は厳しくなってきていて、敷金・礼金等の初期費用を抑えた物件、かつ、賃料等の毎月の支出も抑えている部屋であること、また、設備、仕様も揃っている部屋は決まりが良く、そうでない(工夫をしていない)部屋との差が大きく出ました。
昔のように春の移動シーズンは少し強気の条件でも決まるという時代は、とっくに終わりました。
── オーナーさんが今一番悩んでいるのが空室問題だと思いますが、何かアドバイスをいただけますか。
森 空室の相談は年々増加しています。
家賃を値下げれば良い、お金をかけてリフォームをしないと決まらないなどと不動産会社から言われて、そのまま行っても一時的な問題解決にしかなりません。その分、収益が悪くなります。
また単純に、サブリース(一括借上)を頼んでいるから大丈夫というのも非常に危険です。空室が多く、一度空いたらなかなか決まらない時代に突入し、最近ではサブリース賃料の一方的な減額請求、及び入居者入替時の免責期間(賃料を支払わなくても良い)を設けられることが頻発しています。
それらの条件をのまないと一方的にサブリース契約を解除され、収益が悪化したとの相談が急増しているのです。
空室対策の理想論は賃料を下げずに、かつフルリフォームのように多額のお金もかけずに部屋を決めることで、アイデア次第でそれは十分可能なのです。