2010年をふり返る ── 「家賃滞納データベース」の活用進む (2010年12月21日)
2010年の賃貸業界をふり返る ── 「家賃滞納データベース」の活用進む
恒常化する「家賃滞納」の対策に、「家賃滞納データベース」を活用
今日は12月21日。今年もあと10日ほど。1週間もすれば仕事納めです。光陰矢のごとし、あっという間の1年でした。
そこで賃貸業界のこの1年をふり返って、主な出来事を3回にわたって取り上げてみます。
年初の1月14日に、賃貸住宅が直面する諸問題を根本的に調査、審議するために設置された国土交通省の民間賃貸住宅部会が、1年間かけて集中的に審議した結果を『最終とりまとめ』として作成、公表しました。
賃貸住宅(業界)が現在直面する諸問題について、国の機関がかつてこれほど時間をかけて集中審議した例はなく、内容においても賃貸業界が直面する「問題点」とトラブルの未然防止に取り組むべき「課題事項」が述べられています。
国としても国民の住生活を支える賃貸住宅が抱える問題を放置できないとする強い姿勢が、下記の文言にじんでいます。
「政策の検討に当たっては、賃貸人側については、貸主が高齢の個人である割合が高いことや民間賃貸住宅の管理を委託している割合が高いこと、また、賃借人側については、連帯保証人に代わり、家賃債務保証会社の利用が相当多くなってきていること等の民間賃貸住宅をめぐる現在の状況も念頭においた検討が必要である」
国の住宅政策、賃貸住宅の取り組み姿勢は、この『最終取りまとめ』の流れに沿って進められています。
モラルハザードなのか、景気低迷の長期化による影響なのか、「家賃滞納」が恒常化しています。かつては、毎月の決められた家賃を払わないというのは特殊な事例でしたが、今日ごく普通のように起きています。
日本賃貸住宅管理協会がまとめた2009年度下期(2009年10月~2010年3月)の「賃貸住宅景況感調査」によりますと、「全国の滞納率は月初全体で6.5%、月末1ヵ月で3.2%、月末2ヵ月で2.0%となっている」と現況の厳しさを示しています。
それではと、家賃保証会社によって設立された全国賃貸保証業協会などが「家賃滞納のデータベース」を構築。入居審査など、日々の契約時に活用し始めています。
日本弁護士連合会が「家賃等弁済情報提供事業に反対する会長声明」を表明しましたが、実質運用は始まり、登録リストの数は増え、本格運用が進んでいます。
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(2010.12.21)