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2010年をふり返る ── 「賃料」「空家」「賃貸住宅の新築」に顕著な傾向 (2010年12月22日)

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◆ 賃貸経営の今を読む (峰 匡太郎)

2010年の賃貸業界をふり返る ── 「賃料」「空家」「賃貸住宅の新築」に顕著な傾向

年々賃貸経営が難しくなる

賃貸住宅業界の動向を読み解くキーワードは、「賃料傾向」「空家状況」「賃貸住宅の新築」の3つです。

時代は変わっても、この3点に業界の実態が集約されています。とくに、景気の足踏み、少子高齢社会の進行とともに、賃料×空家(率)×新築(数)が複雑に絡んで、年々賃貸経営が難しくなる傾向が強まっています。

今年はこうした難しさがさらに加速した年ではなかったでしょうか。

まず賃料傾向ですが、あらゆる商品の取引き価格が需給バランスで決まるように、家賃をはじめ礼金、敷金、更新料が、転居の減少、空家の増加を受けてここ1~2年、軟調化しています。

しかし秋頃以降の賃料調査等を見ていますと、弱含みから横ばい、一部上向くといった現象が広まりつつあります。昨日発表されたアットホームの「マンション賃料インデックス」によくそれが表れています。ただ、市場全体としては、本格上昇とはなかなかいかないようです。

それと、「首都圏で『礼金なし物件』が、関西圏で『敷金(保証金)なし物件』が増え、『賃料』『礼金・敷金』の交渉が増加している」(「賃貸住宅景況感調査」日本賃貸住宅管理協会)といった傾向がだんだん当たり前のようになっているようです。

1990年以降の20年で、最低の新設戸数

空家については、2年前に総務省から5年に1度実施する「住宅・土地統計調査」で、空家率が13.1%と過去最高を記録。それから基本的には状況は大きく変わらず、人口減少分、空家が増え、賃貸市場全体に影響を投げかけていることは十分に知られているところです。

今年6月に公表された「空家実態調査報告書」(国土交通省)に空家の実態が垣間見られます。

報告書は、空家の個人所有者では年齢が「60歳以上」が56.5%で最も多く、就業形態では「無職(年金受給者など)」(29.1%)や「自営(賃貸住宅経営)」(21.0%)が多い。

最寄りの鉄道駅からの距離で、借家では「1km未満」(56.0%)が多く、借家の方が駅に近い傾向。

空家化の原因としては、「賃貸人などの入居者が退去した」が56.5%と最も多く、次いで「別の住居へ転居した」が31.8%を占め、「賃貸経営用に取得、賃借人がみつからない」2.2%などもある、と分析しています。

ところで、今年1~10月の貸家の新設着工数は24万4,196戸で、前年比6.9%減ですが、前年分がその前の年に比べて32.2%減ですから、2年連続で大幅な落ち込みとなっています。11月、12月分がまだ出ていませんが、今年1年の合計は、1990(平成2)年以降の20年で最低の戸数になると見られます。

市場の人気は新築~築5年の物件で、取り引きされているメインが築15年クラスまでですから、新築が品薄状態となっているはずですが、やはり入居者が埋まらない比較的築年数の浅い物件の空室が圧迫要因となって、新築のブレーキとなっているようです。

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(2010.12.22)


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