2010年をふり返る ── 日々進化しながら進歩を遂げるWeb媒体 (2010年12月24日)
2010年の賃貸業界をふり返る ── 日々進歩しながら進化するWeb媒体
不動産とくに賃貸物件がコンピュータで管理するのに向いている
賃貸業界は何かいつまで経っても古い慣習が残る業界のように思われがちですが、実態はものすごいスピードで進んでいます。なかでも物件をPR・広告するシステムや媒体は長足の進歩を遂げ、日々進化しています。
たとえば仲介不動産会社にとって命ともいえる物件の管理に、仲介現場では長く、物件カードや大学ノートが使われていたのが、Windows95が生まれ、次に98が出てそれに合わせてアプリケーションが広まったことから、モニターを見ながら物件案内する今日の営業スタイルが不動のものとなりました。
大手の仲介不動産会社が、物件に背番号を打って登記簿謄本をチェックしながら管理物件、もしくは仲介物件のデータベースをつくり始めたのはほんの10年ほど前です。
それまでは、「○○マンション」の家賃は○万円で、入居条件に連帯保証人は2名必要などと書かれたノートを見ながら、入居者と打ち合わせする不動産会社が少なくなかったのです。
この変化は、コンピュータが扱いやすく、安価になり、データベースを構築する環境が整ったことももちろん背景にあるのですが、不動産とくに賃貸物件がコンピュータで管理するのに向いていることが挙げられます。
また、業界全体が仲介ビジネス一本から管理業務に軸足を移し、管理の重要性を認識したことも見逃せません。
連載の最終回のまとめとして、賃貸業界における最新のPR・広告ツールの動向を取り上げようとしたのですが、「2010年をふり返る」テーマからはずれそうです。
要は、賃貸仲介ビジネスは最新ツールとしての携帯電話とWeb媒体により大きく様変わりしつつあるという話です。
物件情報を提供する「システム」に、大きな変化が見られたのも今年の特色
まず、携帯電話。今日、電話と情報端末(PDA)が合体したタッチパネルを指先で操作する高機能携帯電話(スマートフォン)の急速な広がりとともに、賃貸住宅のポータルサイトを運営している各社は、ここへきてスマートフォンアプリケーション(応用ソフト)への対応を急ピッチに進めています。
スマートフォンは、単なる会話をメインとする電話機能だけではなく、ネットワーク機能を持つのが特徴ですから、物件と付帯する情報を提供するポータルサイトとしては使い勝手がよく、どんどん専用のソフトを配布したのが今年の特徴。
賃貸住宅の空き部屋を探す人に物件情報を提供する「システム」に、大きな変化が見られたのも今年の特色です。
賃貸情報誌もまだ健在で、市販もしくはフリーペーパーとして配布されていますが、物件探しのツールとして主流を占めつつあるのはインターネット掲載サイト、メール、自社ホームページといったWeb媒体。
物件広告した後の消費者からの反響受けには、大きく電話、メール、直接来店の3つがありますが、年々メールの割合が増え、直接来店は減少傾向にあります。やはりWeb媒体の使いやすさが気に入られ、利用割合が年々上昇しているのです。
賃貸情報を束ねるインターネットのポータルサイトに衝撃が走ったのは8月。グーグル日本法人が、同社の地図サービス「グーグルマップ」で新たに賃貸住宅の情報の掲載を始めた、と発表。
グーグルマップ上に賃貸物件や関連するコンテンツを表示するサービスは、アメリカ、イギリスなど5ヵ国で実績を持ち、日本は6ヵ国目となり、(株)ジアース(旧アイディーユー)と提携して本格展開に入ります。それから数ヵ月の間に各ポータルサイトと提携が進み、直近では物件総数が273万件となっています。
グーグルマップの凄い点は、「地図」「ストリートビュー」「航空写真」「Earth」の4機能を使えば、物件の位置確認、周辺施設の状況等がほぼ瞬時に掌握されること。なかでも地上を鳥瞰図のように眺め、街全体を3D表示する地図ソフト「Earth」は街並みを立体的に表示するなど、分かりやすさは際立っています。
情報の集約化に拍車がかかり、ポータルサイトの淘汰を早める
Webノウハウの進化で、消費者は膨大なコンテンツ利用の恩恵にひたることができるのですが、情報を発信する側は、さらなる技術アップへの対応とコンテンツ(物件情報)をプロデュースするビジネスパワーが求められます。
平たくいえば情報の集約化に拍車がかかり、物件数が少なく、コンテンツ等魅力の乏しいポータルサイトは淘汰を早めるということではないでしょうか。
このように見てきますと、賃貸ビジネスの最川下に当たり、賃貸住宅を探す消費者との接点になる物件を紹介するPR・広告の手法とツールに生まれた大きな変化が、賃貸マーケット地図をも揺り動かそうとしているのです。
このほかに、今年目を引いたポータルサイト関連の動きとして、従来のビジネスモデルにない「仲介手数料無料からマンションを探せる」(アーブル・パートナーズ)、「リアルな賃貸情報検索サービス」(リアルネットプロ)などの新しいサイトが立ち上がったことを付け加えておきます。
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(2010.12.24)
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