つづく 賃貸経営をしていく上で、何を置いても重要なのが「賃貸借契約書」
賃貸経営の知識
賃貸経営をしていく上で、何を置いても重要なのが「賃貸借契約書」
トラブルの発生が高くなるのは退去時
いずれの契約書も主な内容は下記の通りです。
・ 建物の名称・所在地・設備・付属施設
・ 契約期間
・ 賃料・共益費・敷金・その他一時金
・ 借主及び同居人氏名・合計人数
・ 貸主住所・氏名・印
・ 借主住所・氏名・印
・ 連帯保証人住所・氏名・印
・ 仲介業者所在地・商号・代表者名・印
・ 宅地建物取引主任者氏名・登録番号・印
これらの基本的な項目以外の内容は、特記事項として記載されています。
実際に仲介の現場では、用紙片面1枚の驚くほど簡単なものから、表紙をつけて数ページに及んで特記事項をビッシリ書き込んだケースまで様式は様々。
基本項目以外の内容については、特約事項として追加記載されるようになっています。この特約条項は制限なく記載することが可能ですので、必要なものは項目を増やしておくのも方法です。
法文、決まり文でがんじがらめに書き連ねるのも考えものですが、トラブルを未然に防ぐためにも、細分にわたってきっちり決め事を書いておくのが、やはり最上だと思います。
契約書とは、そもそも借主と貸主が仲介業者を立会人として取り交わされるものですが、入居者とのトラブルが発生する原因の一つに、契約書の内容に加えて、事前の説明の仕方が不十分なことが挙げられます。
「後で読んでおいてください」「何かご不審な点があれば申し入れてください」と言って契約書を手渡すだけではなく、その場でポイントとなる各所を説明しておくのがベストだと思います。
後々になって「それは聞いていない」「その件の説明は受けていない」といった水かけ論的なやり取りも、当初、時間をかけてきっちり説明して納得の上で手渡せば、初歩的なトラブルは未然に防げるはずです。
入居時は新生活が始まるということで、入居者も細かいことに目がいかないのですが、いざ退去となる時、できるだけ有利に出たいという願望も重なって、約束が違うといった見解の相違等からトラブルが発生します。
賃貸経営上、トラブル発生が高くなるのは、退去時に集中します。
それも大きな理由はほぼ二つ。保証金、敷金などの入居一時金の返還と原状回復についてです。
原状回復を図るために要する経費を保証金あるいは敷金から実費的に差し引いて、その残高を返却しようとすれば、当初契約時に決めた敷引きの返還金と金額が違ってくるために、もめることになるというわけ。
そのためにも入居者の原状回復義務を契約書・特記事項に明記しておくことです。
「明け渡し時の原状回復」のポイントは、入居者の使用によって破損したものか、あるいは、経年変化による自然損耗か判別して、経年変化によるものと、普段の使用に伴う破損とは、やはり明確に線引きする必要があります。
大家さんと入居者間で発生するトラブルには、退去時の原状回復に対する捉え方(見解)の相違から派生するケースが少なくありません。