咲く花のにほふがごとく 桜が咲き誇る 奈良の都「法隆寺」 (2008年4月5日)
咲く花のにほふがごとく 桜が咲き誇る 奈良の都
あおによし 奈良の都は咲く花のにほふがごとく 今盛りなり(万葉集)と詠われるように、奈良は、いつ、どのタイミングに訪れても別格の風情を漂わせて迎えてくれます。
今はどこに行っても桜が咲き誇り、かすみか雲かの形容通り、桜が一面に咲く様は遠目にもかすみを思わせるものがあります。
そこで桜の季節に合わせ、明日香から足を伸ばして、しばし奈良の桜の誌上見学と参ります。
1回目は「法隆寺」。
日本最古の木造建築物で知られる法隆寺を2年ぶりに訪れました。平日というのにさすが日本最初の世界遺産。多くの観光客が散策しています。
法隆寺には意外に桜の木が少なく、正面の南大門から入って中門に通じる境内左手の西大門の弁天池前に十数本と、逆方向の東大門近くの数本ある程度。
こう書いても位置関係は分かりにくいと思うのですが、要は正面玄関に当たる南大門をくぐり、五重塔や金堂のある西院伽藍をタテ(南北)に途中の西大門と東大門を結ぶヨコ(東西)の線上にに桜が植えられています。木は比較的若く、植えられてそう年月が経っていないよう。
当日はほぼ八分咲きから満開。これらの若い桜も年輪を重ねることで、これから法隆寺にいっそう溶け込んで花を添えると思われるのですが、法隆寺の桜で特筆されるのは大宝蔵殿(6月30日まで「法隆寺秘宝展」開催中)の入り口前にあるしだれ桜。
全体に小ぶりながら、垂れた枝にピンクの花が咲き、樹木全体から得も知れない静謐な美を感じずにおれません。
法隆寺には国宝、重要文化財の仏像などがたくさんあるのですが、名工達がつくった造形物とは違い、土壁を背に咲くしだれ桜の花には人生の深い面影が垣間見えるようです。
2008年4月5日