2
特別インタビュー
東建コーポレーション株式会社
代表取締役社長
左右田 鑑穂氏
我々のエンドユーザーであるお客様、入居者をどう取り込む
のかは大きなテーマです
東京のマーケットに営業の軸足を
土地活用も最後は、仲介力に突き当たる
── それでは現在、とくに力を入れておられる事業、あるいは新部門はなんでしょう。
左右田 賃貸業界はこれまで都市部の郊外中心に伸びてきました。そこで今後の営業方針をどうするかなんですが、都市型と申しますか、政令指定都市等を中心とした都市型の営業に重点を移していく考えです。例えば東京23区を含め、都市における需要掘り起こしを重点的に進めたい。これからは、そこに大きな活路があるのではないかと思います。
わが社の場合、データを見る限り、弱いのは東京周辺、この一点なんです。ごぞんじの通り、首都圏は面積の占める割合は小さくても地価、人口密度はもとより、日本中の人、モノ、金が集中しています。この地域の市場をクリアすれば、まだまだ売上げ増は期待できます。
東京のマーケットがメインのターゲットで、ここを中心に営業の軸足を移していこうとしています。
── そこでズバリお聞きしますが、人口減、高齢社会、空室率増加・・を前にして、これからの賃貸経営のあり方をどのように捉えておられるのですか。
左右田 これからの社会を見つめた対策の一つとして、もう少し商品のバリエーションを増やすことが挙げられます。例えば、人口密度の低いローカル都市と大都市部を比較すると、需給構造が違うということ。
セキュリティーの高い女性専用のアパート・賃貸マンション、ペット対応、あるいはガーデニングができる、といった専用機能を持った特徴を前面に押し出し、付加価値の高い商品が必要です。
マーケットリサーチに基づいた地域の市場性に合った商品の供給が大きな課題で、現在の主流である単なるアパート・賃貸マンションの供給から抜け出す必要があります。ベースはマーケットリサーチに裏づけされた賃貸ニーズの取り込みです。
リサーチに裏付けられた商品を展開していくということ。例えば、1年契約の家具付きとか、家電付きのアパート・賃貸マンションも面白いのでは。
要は、需要の大きな都市部にターゲットを絞る。これからはこの絞り込みが重要となってきます。従来の百貨店方式ではなく、これでは負けないという専門店スタイルではないでしょうか。
商品を磨き上げて付加価値を高め、念入りなマーケットリサーチで、その土地が求める市場性のある賃貸住宅を供給する。ポイントは市場性なんです。そういう時代ではありませんか。
そういう意味でも、新しい、今までになかった商品、従来のイメージにないアパート・賃貸マンションを確立することです。
今までにも増して工夫と改善は必要
最善の全国ネットワークを構築
人口減少といっても、何も急激に減るというわけではなく、10年、20年かけて少しずつ減少するのですから、そんなに気にしなくてもいいのではないでしょうか。ただし、大きな流れとして不動産業界も淘汰の時代を迎え、再編の動きを見せていますから、今までに増して工夫と改善は必要です。
入居者あっての土地活用の概念が基本方針ですから、ホームメイトのフランチャイズを充実させ、独自に開発してきたITを駆使したネットワークを組み込みながら多店舗展開を進めたい。ここがわが社の基本戦略です。
我々のエンドユーザーであるお客様、入居者をどう取り込めるのか、という大きなテーマについて、それは仲介ネットワークのパワーがあれば多少供給してもまだまだ大丈夫なんですね。
当社一社で仲介するにはもう限界があるんですね。これだけ巨大な土地、アパート・賃貸マンション市場を一社で対応するのは無理ですが、最善の全国ネットワークを構築することで対応も広がっていく、そのためにもここに最大限注力していきます。
土地活用をする際、果たして地元の不動産会社と提携するのがいいのか、あるいは大手とタイアップするのがいいのか、その一つの判断材料が物件をフォローするネットワークにかかっていると思います。
私自身、土地活用も最後は、仲介力に突き当たると思います。
2294