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人口・世帯の減少と2013年版『土地白書』
地価は下落率が縮小し、上昇・横ばい地点が大幅増加の傾向
市場価格の持ち直しが明確に
景気の緩やかな回復とともに土地の需要が伸びています。(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の首都圏の2013年6月末の集計によりますと、100~200平方メートルの土地取引きの成約件数が4ヵ月連続で前年同月を上回り、増加率は2ケタ台を推移しています。
そうした折、国土交通省から2013年版の『土地白書』が公表されました。最新の白書を通じて土地市場の主だったポイントを見ていきたいと思います。
まず地価の動向ですが、「2013年地価公示の結果は、全国的に依然として下落を示したが、下落率は縮小し、上昇・横ばいの地点も大幅に増加するなど、一部地域において回復傾向が見られる」と、市場価格の持ち直しが明確になっていることが挙げられています。
さらに「住宅地については、低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えもあって、下落率は縮小した。都市中心部においては、住環境が良好である地点や交通利便性の高い地点で地価の上昇が見られたほか、郊外の住宅地においても都心への利便性の高い地点で地価の上昇が見られる」としています。
将来、空き地の活用が課題に
ところで、「人口減少、少子高齢化等による土地利用の変化」について次のような見方を示しています。
「少子高齢化が進んでいくと、30代~40代の子育て世代等が宅地資産を取得しても、その後、相続や親等からの贈与によって再び不動産を取得する可能性が高まっていく。そして、そのような場合には、積極的な活用意志がないままに不動産を所有することとなり、相続をきっかけとして有効活用されない不動産が増加するおそれもある」。
このように、「人口・世帯の減少は、長期的には土地需要を減少させ、空き地等の増加につながると考えられる」と空き地の活用に向けての課題を挙げています。
60歳以上の高齢者が宅地資産の約60%、約530兆円を保有。多くの土地資産が高齢者によって保有されています。
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