北里厚会長インタビュー 2
特別インタビュー
一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会
会長
北里 厚氏
やはり、入居率の高い物件は、築数年クラスで
築20年を超えると一転して空室率が高くなる
── 年々厳しさを増す空室発生の増加に対し、空室対策に悩む賃貸オーナーにアドバイスをいただきたいのですが。
北里 対策として、入居者へのサービス、フリーレントという声をよく聞きます。家賃を下げるという選択もありますが、他の入居者とのかねあいもあって、ただ家賃を下げたから入居が向上するとは言い切れないものがあります。そんなこともあって、フリーレントでサービスするというのがいいのではないでしょうか。
フリーレント○ヵ月とした方が入居者さんが喜ぶのではありませんか。ですから福岡県宅建協会では「消費者に優しいコーナー」を設けて、実質的に入居される皆様にメリットを還元する姿勢で臨んでいます。
入居されるお客様を案内するのも手法があって、ネット検索にヒットするために多くの物件を掲載するケースがありますが、これはこれで反響が取れて契約に結びつく事例が福岡などでも多く見られます。
また入居者の傾向として入居率の高い物件は築数年クラスで、築20年を超えると一転して空室率が高くなるといった現実があります。
築10年、20年となれば家賃を下げても入らないといったことがあるため、設備の更新、新設などリフォームにある程度費用をかけるなど大家さんも真剣に取り組まないと、入居の促進に関して、ますます厳しくなるのではないでしょうか。
私達も客観的に見ていて、家賃も下げているのになぜもっと早く入居決定しないのだろうかと気をもむこともあります。
入居者さんとの結びつきを大事にしていかないと、
これからはダメではないでしょうか
── 人口減、高齢社会、空室率の増加などが目立つ市場環境に対して、これからの賃貸経営のあり方をどのようにお考えでしょうか。
北里 埼玉では賃貸経営は厳しさを増すことから、空室対策は重要な課題で、今後入居者のクレームをこまめに対応していくことが必須と捉えています。
なかなか難しいものがありますが、入居者からクレームが入ったら、まず“クレームと思うな、それは収益の一つと思え”、というたとえがある通り、後々のメンテナンスが重要です。しかし一度入居してしまうと、後、入居者のところへ何かご不便なことはないですか、といって訪れることはほとんどない。日頃行かないんですね、これはダメなんです。
不動産会社は大家さんとのコミュニケーションも大事ですが、それ以上に入居者さんとの結びつきを大事にしていかないと、これからはダメではないでしょうか。こまめなフォローが必要です。お誕生日に花を贈るとか、ハガキ一枚に祝辞を述べるとか、そういう風な親身な応対を考える時代を迎えました。
リピーター客を大事にしていかなければなりません。長く住んでもらうためのサービスを提供する、そして管理会社と連絡を密にして、顧客、つまり入居者に対応していることが、かつてなく重要になってきます。
賃貸経営の安定には物件管理のレベル向上が一番で、管理が悪いと結果、物件価値を下げることになります。管理もレベルの高い業者の選択が基本。管理をきっちりする業者選定が重要ということです。さらに今後の課題として、高齢者向けの優しい仕様に整備する、ビル等の建設計画に際しては管理のプロと相談することを推奨します。