収支計算
よくわかる賃貸経営
収支計算
賃貸経営は「収支計算(書)」の作成から
賃貸経営の損得が分かるのは「収支計算」。アパート・マンションの経営を始める前には「事業収支」として「収支計算(書)」を作成します。長期にわたる見通しを立て、年間の収益の状態をチェックするのに、やはり「収支計算」が重要なファクターになります。
「収支計算(書)」は賃貸経営の収入と支出のお金の流れを一覧にしてまとめたもので、賃貸経営のプランづくりの基となり、これを見ればどの程度の黒字なのか、または赤字なのかが分かるのです。収入から支出を差し引き、収入が多ければ黒字で儲かっていることになります。
賃貸経営を始めるに際し、採算性を知るために「収支計算(書)」を作成して、綿密にチェックすることは重要なポイントです。
ところで、金額等をコンピュータにインプットして収支計算のシミュレーションを作成するのですが、その時メインの収入となる家賃収入をどこまで見込むかで、全体の損益バランスが違ってきます。つまり家賃収入のベースとなる入居率をどう捉えるかで、収支計算が根底から違いを見せるのです。
また、総収入金額から必要経費を差し引いて計算する「損益計算」にしても、「収支計算」同様、従来にまして事前の予測が立てにくい経営環境になっています。
それは入居状況(率)の予測が難しくなっているためです。
収支を決定するのは入居率
賃貸経営の収入のメインは家賃で、この家賃が年間いくら入ってくるかをベースに年間の収支を計算します。入居率100%、満室経営であるのなら問題はないのですが、退居者が出ると、最短で入居者が決まっても数日から数週間の空白期間、つまり空室状態が生まれます。
この空室状態をどの程度の割合でみるかで、収支の内容がガラリと違ってきます。賃貸事業を始めるに際し、この空室の割合、あるいは入居率をどう設定するかです。
入居率が高ければ経営は安定し、収支も良好となるものの、現実的にもし低ければその誤差が経営を狂わせてしまいます。
収支計算は賃貸経営のイロハのイに当たるのですが、経営を決定する要因は入居率というごく簡単な理屈になります。
収支の安定した賃貸経営とは高入居率を維持できる経営といえます。賃貸経営の損得が分かるのは「収支計算」ですが、その収支を決定するのが入居率というわけです。
高入居率をキープする賃貸住宅を建てることが賃貸経営の安定につながる、と極めて明快なロジックとなるのです。
収支計算書に将来展望が集約
賃貸経営を始めるに当たって、収支の予測を立てることは難しいことではなく、必要なデータをインプットすれば収支計算書がつくられます。
賃料収入とローンの借入額、返済条件、減価償却、租税公課といった支出、そして入居状況のパターン(入居率)をパソコンのソフトに入れることで、収支計算(予測)が即座に分かります。
前回、収支を決定するのは入居率と取り上げましたが、長期の収支計画を立てる時、空室率をどのくらいに見込んで事業プランを立てるかが大きなポイントになるのです。
例えば、完成から7~8年は年間を通して100%の入居率。8年以降15年ほどは少し落ちて90%、15~20年は80%台という風に見込んで収入の予想を立て、それをもとに支出を差し引けば収益が自ずと出てきます。
収支計算書に賃貸経営の将来展望が集約されています。とにかく念入りに、慎重にチェックして、そして収支を決定するのは入居率であることを十分に理解してください。
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