垂井 一氏インタビュー(3)
特別インタビュー
社団法人全国賃貸住宅経営協会和歌山支部長
和歌山賃貸住宅経営協会理事長
垂井合名会社代表社員
理事長 垂井 一氏
和歌山城から和歌山市内を望む
これからの時代こそ自主管理を
「世のため人のため」に経営する
物件に特徴を持たせないと経営が難しい時代
── 賃貸経営が年々難しくなっていると、最近何かと指摘されますが、和歌山の状況はいかがですか。
垂井 和歌山だけではなく、全国的な傾向で、供給が需要を上回っているのですから、立地や設備を含めて入居者を引きつける要素が少ないと、これからの賃貸経営は厳しくなるのではないですか。
たとえば、「ペット同居専用」とか「高齢者専用」など、物件に特徴を持たせないと経営が難しい時代です。新たに1棟を購入して大家さんになって賃貸経営するなんて、地方ではちょっと考えられない。街中のいいところで、よっぽど安く買えば別なんでしょうが。
私が思うには、物件管理を管理会社に任せる場合、満室経営に自分の創意工夫の余地はないのではありませんか。
── 賃貸経営のポイントとは。
垂井 賃貸経営はやはり立地でしょう。一般的には親から譲られた土地の相続税対策からスタートするケースが多いのですが、本来は賃貸経営第一に考えるのでしたら、土地を売ってでも立地のいいところに建てて経営するべきです。
財テクとして賃貸経営されているのでしたら、所有する物件で気になったら、まず仲介不動産会社に物件の感想を聞くことをお勧めします。仲介不動産会社の接客カウンターに座っている営業マンに物件を見てもらってアドバイスをもらえは、いい点、悪い点、改良点などがよく分かると思います。
時代の入居者のニーズに合わせて 対応していく努力が求められる
── それではズバリ、賃貸経営の難しさをお聞きします。
垂井 株なんかの投資と違い、賃貸住宅は古くなって資産価値が下がってくるので、適時手を加えていかなければならない。つまり、資金を必要とすること。屋根を修理したり、壁面を防水にしたり、ある時は思い切って大幅な仕様変更のリフォームをしたりと、何かとお金を入れていかなければなりません。
それとプラス、「入居者ニーズ」に常に対応しなければなりません。シャワー付きトイレ、浴室乾燥機、フロの追い焚き、光ファイバー設置が当たり前になっています。今人気のフローリング床にしても、いつかなくなるかもしれません。小さな部屋より大きな部屋、10畳以上のLDKが好まれています。
という風に、お客さんつまり入居者の希望を取り入れていくと、費用がどんどんかかるのです。
そして、最新バージョンに改良して、家賃を高目に設定したものの、最初の入居者が退去した後の入居者に対して家賃をどう設定するのか、といった問題に直面したりします。
このように、時代の入居者のニーズに合わせて対応していく努力といいますか、経費の負担が経営全体にかかってくる、こうしたことにどのように取り組むかが賃貸経営の根本的な課題ではないでしょうか。