垂井 一氏インタビュー(4)
特別インタビュー
社団法人全国賃貸住宅経営協会和歌山支部長
和歌山賃貸住宅経営協会理事長
垂井合名会社代表社員
理事長 垂井 一氏
トラブルになれば最後に損するのは大家さん
── 大家さんとして、これからの賃貸業で心がけることは。
垂井 まず法律や判例など賃貸経営の基本を勉強することです。敷金返却や原状回復一つとっても国のガイドラインがあるのですから、通常損耗か故意の過失によるものなのか、この辺をよく理解して経営すること。
トラブって裁判になったりすれば仲介不動産会社や管理会社に嫌われるでしょう。そんなことになれば、これからの募集や契約に支障が出るじゃないですか。入居者ともめて不動産会社を巻き込むことになると、回り回って結局は、大家さんが損することになるのですから。
それと、自主管理を心がけることも大事です。
清掃や補修・修理などにかかるコスト面を考えると自主管理をやって、きめ細かく物件をフォローしていくこと。第一、週1回の掃除と毎日やる掃除とでは見た感じが全然違うでしょう。自主管理をすれば身の入れ方も違ってくると思いますよ。
これからは大家さんによる自主管理の如何が経営を左右することになります。
更新料や敷引きの司法の判断も、どんどん消費者(入居者)寄りになっているのですから、今後、礼金の扱いだってどうなるのか分かりません。礼金をもらわなくてもいいという物件のみが生き残る。そんな時代が来るかもしれないのです。
そんな時に生き残っていくためには、法律や判例などの「知識」と物件を高水準に維持することが必要で、そのために勉強とか自主管理が生きてくるのです。
入居者や地域社会への貢献も考えて経営に当ってほしい
── そうしますと、これからの賃貸経営で心がけることはどのようなことでしょうか。
垂井 最後になりますが、賃貸住宅、テナントビル、駐車場などの賃貸不動産経営の理念は、「世のため人のため」ということです。
大家さんも不動産会社の方々も、入居者満足、消費者の幸せを第一に考えてほしいということです。
相続税対策とか土地建物の有効活用とか財テクとかでのお金儲けだけでなく、入居者や地域社会への貢献もいっしょに考えて経営に当たってほしいということです。
それが、経営を安定させ、長続きさせる唯一の方法であると信じていまして、世の多くの成功している経営者たちも実行していることと思っています。
── 貴重なお話、ありがとうございました。
(2010年4月19日)