垂井 一氏インタビュー(2)
特別インタビュー
社団法人全国賃貸住宅経営協会和歌山支部長
和歌山賃貸住宅経営協会理事長
垂井合名会社代表社員
理事長 垂井 一氏
南海本線「和歌山市」駅前のファーストビル
家賃滞納者に対して、夜討ち朝駆け、
勤め先への電話や訪問は常識ではないですか
── ところで、賃貸経営の中でも難儀な家賃滞納、そこから発生した追い出し屋問題についてはどう思われますか。
垂井 無銭飲食者は刑法違反で警察に捕まりますが、家賃を支払わない方は、民法の世界であり捕まりません。大変長い裁判と費用と労力を使い強制執行の判決をもらうしかないのもおかしいことです。
いわゆる追い出し屋対策法案が国会で可決されそうです。
みなさんは、家賃滞納者に対して取立てはどうしていますか。電話に出ない、部屋に行ってもいない入居者に対して、夜討ち朝駆け、勤め先への電話や訪問は常識ではないですか。
それが一部の家賃保証会社の行き過ぎた行為により、禁止される法律が生まれようとしています。滞納した人の部屋の中の荷物を勝手に運び出す、鍵を取り替えて入居できなくする、といった刑法(家宅侵入罪、窃盗罪、器物破損罪)に触れる行為をした結果ですよ。
私はこれらは管理会社の怠慢が招いた結果と思います。管理の中身は家賃滞納管理もあるわけですが、それをアウトソーシングした結果、家賃保証会社がどういう取り立てをし、追い出しをしているか、きちんと把握していなかった、監督不行き届きのツケが回ってきたものでしょう。
賃貸経営の勉強をしないと、
これからの時代、経営が難しいのでは
── それでは家主としての対応策にどのようなことがあるのでしょうか。
垂井 まず第一は、私が前から全国賃貸住宅経営協会で申し上げていることで、定期借家契約の一本化をすれば、家賃滞納入居者に出てもらいやすくなります。現在は普通借家契約と定期借家契約の2本立てでありますが、法律に2種類あるのは、おかしいことです。
今後新しい契約は定期借家契約のみとすること、以前からの契約は合意の上で定期借家契約に変更すればいいと思います。
ただ現状では、確かに定期借家契約への一本化は、追い出される滞納者や家屋困窮者を増やすリスクが伴い、大変難しい問題であると思っています。
それとなにより、大家さんが賃貸経営に関わる法律や判例を勉強をしないと、これからの時代、経営が難しいのではありませんか。