最高裁、更新料は「有効」の初判断 (2011年7月20日)
最高裁、更新料は「有効」の初判断
「高額過ぎるなどの特段の事情がない限り、更新料条項は有効」
「更新料」の支払いをめぐる裁判で、7月15日、最高裁判所が「有効」との判断を示しました。
最高裁のある種の“バランス機能”には、いつもながら驚かされます。賃貸業界では安堵の空気が漂っています。
裁判におけるポイントは二つだと思います。
まず一つ目が、「高額過ぎるなどの特段の事情がない限り、更新料条項は有効」とする点。
訴訟に持ち込まれた事案は、「1年ごとに家賃の2ヵ月分」と「2年ごちに家賃の2ヵ月分」の更新料の支払いに対するもの。この「家賃の2ヵ月分」を最高裁は「高額過ぎるとはいえない」と判断したことです。
一般的に更新料の相場には地域差がありますが、「2年ごとに家賃1ヵ月分」がよく見られるケース。
1年ごとに2ヵ月分が認められ、金額的に高いものではない、と判断されたのですから、2年ごとに1ヵ月分はほぼ問題なしと見られます。
結局、社会的通念からして「高過ぎない」更新料は、法的には何ら問題ないということになったのです。
第二に、裁判における最大の争点となった消費者契約法10条の「信義則に反して消費者利益を一方的に侵害する恐れ」に対して、更新料が賃貸借契約書に明示され、特段の事情がない限り「消費者利益を一方的に害するとはいえない」としたことです。
これもズバリの判決ですね。消費者契約法10条は、消費者擁護の牙城のように見られていたのですが、今回、「一方的に害しない」と“制限”を加えています。
ビジネス上の商習慣をこの10条と天びんにかけると、解釈する基準でいかようにも判断されます。
「更新料」は賃貸借契約の特約の中で、貸方、借方合意のもとに結ばれているのですから、最高裁は、契約の際に当事者同士が合意して、明記している点に着目。それが、金額的に不当に高くなければ違法性はないと判断しています。
ところで、更新料裁判の最高裁の判決が一応決着しましたが、本当の課題はこれからだと思うのです。
この裁判の判決を受けて、賃貸住宅の入居者、消費者がどのように判断して、今後行動をとるかです。
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(2011.7.20)
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