データから読む「賃貸住宅マーケット」の現状
データから読む「賃貸住宅マーケット」の現状
総合的な管理プランを提案するアセットマネジメントが求められる
毎月、国土交通省から貸家つまり賃貸住宅を含む、全国の住宅の新設状況が公表されます。この新設着工データが賃貸住宅市場の状況を雄弁に語っています。
2010年度の貸家の新設戸数は、29万1,840戸(前年比6.3%減)で、平成に入って最低の実績。4年前の2006年度の新設53.8万戸と比べても、およそ半分に近い規模で、年度の1年間に30万戸を切ったのは、平成になって初めてです。
30年前の1981年度が30.7万戸ですから、過去30年で最低となります。ちなみに、過去30年での最高は1987年の88.7万戸で、平成に入っての最高年度は4年度の68.7万戸。
過去30年で最低となった背景は、古いアパート、マンションの建て替えが一巡したのと、なんといっても長引く景気の低迷に加え、物件の飽和感が強く、空室を十分に満たすことができずに、賃貸経営を難しくしていることが挙げられます。
平たく言って、経営環境が厳しいことが、平成に入って最低水準という新設のブレーキとなっているものです。数千万円から数億円を投じて事業(賃貸経営)を営むのに、市場環境が悪いと二の足を踏むのは当然のことかもしれません。
賃貸住宅の新設が減少するというのは、新築物件の流通量が小さくなるということです。それは物件を探している入居者にとって選択肢が限られて不便をかこつ半面、現存の賃貸オーナーにとっては、ライバルの出現が抑えられるということにもなります。
時代の動きを先取りする「賃貸管理」
確かに総務省から発表された最新データによりますと、2011年4月1日現在の日本の総人口(概算値)は1億2,797万人で、前年同月に比べて6万人減少しています。人口減とは即市場の減少に結びつきます。
賃貸経営の立場から、人口の減少も若年層の減少も影響を受けるのですが、やはり総務省が今年のこどもの日にちなんで公表した2011年4月1日現在の子供の数(15歳未満)は、前年より14万人少ない1,693万人で、過去最低を更新しています。30年連続の減少となりました。
このように、これからの賃貸経営は人口減少が続く市場環境を背景に、経営安定の舵取りが求められ、そのためにより高度な管理機能が必要とされます。
所有する賃貸物件の管理を万全に行い、収益の安定と向上を図るためには、時代の動きを先取りする総合的な賃貸管理のプランを実践するアセットマネジメント機能が一層求められているのです。
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