垂井 一氏インタビュー
特別インタビュー

社団法人全国賃貸住宅経営協会和歌山支部長
和歌山賃貸住宅経営協会理事長
垂井合名会社代表社員
理事長 垂井 一氏
敷金は、原則として預かり金ですから、退去時には返還します
原状回復は貸主つまり私とこの負担で修理している
できるだけ早く、次の入居者に入ってもらいたいから

和歌山市内で賃貸マンション4棟・100戸、テナントビル、店舗を経営されている大家さんに、原状回復や管理、空室対策などを中心に、地方都市における賃貸経営のあり方、将来ビジョンを語ってもらいました。
和歌山市は、大阪・ミナミの中心「ナンバ」、あるいは大阪市南部のターミナル「天王寺」まで南海電車、JR1本で直結。大阪の中心部に1時間ほどの距離。人口は約37万人、世帯数約15万世帯。一方、和歌山県の空き家率は、全国平均の13.1%を上回る17.9%の高い水準(「2008年住宅・土地統計調査」)。写真右は、大阪の「ナンバ」と和歌山を結ぶ南海本線「和歌山市」駅。
家賃は「退去時日割り計算」の契約
── まず、和歌山における原状回復、敷金返還等についてお聞きします。
垂井 私は(社)全国賃貸住宅経営協会和歌山支部長と和歌山賃貸住宅経営協会の理事長を兼務していますが、一大家として、自分の物件についてはよく分かっていても、和歌山全体の市場についてはきちんと把握しておりません。
それを前提にお話ししますが、私のところの入居者は法人さんの社員が多く、また転勤が2、3月時に、しかも急なことが多いこともあって、家賃を「退去時日割り計算」という契約にしています。原状回復についても同様、事務的に対応しています。
── 事務的と言いますと。
垂井 敷金については、原則として担保としての預かり金ですから、退去時には返還します。
── それでは原状回復費用にかかる経費は、どのようにされるのですか。
垂井 礼金を2ヵ月分もらっているので、これを充当しています。
── それだけで足りない時はどうされるのですか。
垂井 まぁ、いわば先行投資です。早く次の契約をまとめたいのと、退去者ともめたくありません。
もめるといいますか、退去者との話し合いやまして、裁判所などへ呼び出されるのがイヤですし、また不動産会社の方もイヤでしょう。その不動産会社の方から、入居者とのトラブルの多い大家さんだということで嫌われるのも不本意ですから。
経年変化や借主通常使用損耗の修理個所があるクロスやカーペットなどに借主故意過失損耗があった場合、次の入居者のために、どうせ新品に張り替えますから、貸主つまり私とこの負担で修理しているわけです。
できるだけ早く入居募集をして、次の入居者に入ってもらう方が良いと判断しています。