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◆''意外と少ない「定期借家契約」の利用状況''

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賃貸経営の知識

「2007年度 住宅市場動向調査」で浮き彫りに

意外と少ない「定期借家契約」の利用状況

貸主・借主ともにメリットが小さくない制度

国交省が2008年7月に発表した「2007年度 住宅市場動向調査」で、「定期借家制度」の利用者が意外に少ないのが分かりました。

それによりますと、賃貸契約の種類は93.3%が「通常の借家」。「定期借家制度を利用した借家」の比率は、5.8%。と、通常の賃貸借契約が大半となっています。

また、定期借家制度の認知については、「知っている」という人は31.7%、「名前だけは知っている」という人は、27.9%。知らないが33.7%で、知っている・名前だけは知っているがおよそ60%と、知名度としては比較的高い数値が出ています。
 
2000年に、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」の中で導入された定期借家権は、契約期間満了で契約が終了する制度。スタートして8年を経過しますが、利用は意外と伸び悩んでいる感じです。

定期借家契約は、従来型の借家契約が持つ不確実性(貸した建物が返らない、家賃を改定できない、解約にも正当事由と立退き料がいるがどのくらいかかるか分からない)といったことを排除するために創設された契約形態で、賃貸市場の活性化に期待が持たれていたのですが、前述の通り利用率はそう高くありません。

その阻害要因として、

 ・ 賃借人の中途解約を定めている。

 ・ 契約時の書面による説明や賃貸借契約期間の途中(半年〜1年前に)の通知が負担。

などが挙げられています。

上記の要件に関して全くのフリーではなく、中途解約はやむを得ない事情が必要で、不法占有に対しては明け渡しを求めることができるのですが、それでも利用者は少ないのが実情。

賃貸契約のバリエーションが増え、貸主、借主ともにメリットが小さくないといわれる制度だけに、もう少し利用者が増えてもいいと思うのですが、何が問題なのか。

制度がスタートして大きな成長を遂げ、大変な伸張率

上記の「2007年度住宅市場動向調査」では、「定期借家契約」の運用が意外と少ないという結果が表われていますが、別のデータを見ますと、逆に着実に市場に根付いているのも読み取れます。

不動産総合情報サービスのアットホームがまとめた2007年1年間に登録された首都圏における定期借家物件数は、前年比14%増の2万4551件。

その内訳はマンションが1万5117件で、次いで戸建て住宅が5361件、アパートが4073件となっています。マンションは前年比35.2%増と大きく伸びているのが目立ちます。

エリア別に見ると、東京23区と神奈川県に集中。東京が全体の45%、神奈川で37.4%を占めています。登録物件に占める割合は、4.2%。種目別ではマンションが圧倒的に多く、全体の約60%。

これを同じく、制度ができて2年後にアットホームが調査した2000年3月の物件数を見ると、定期借家物件数は705件で、2年後の2002年3月が1664件ですから、制度がスタートして9年ほどの間に大きな成長を遂げ、大変な伸張率です。

国交省の調査が首都圏、中京圏、近畿圏と全国にまたがっているのに対し、アットホームは首都圏のみですので、集計の結果も違っていると推測されます。

国交省の「住宅市場動向調査」のサンプリングが少ないので、市場の傾向のアウトラインしか理解できないのですが、同じく国交省が昨年7月に発表した「定期借家制度実態調査」は、ストレートに制度の実態を事業者、家主、入居者を対象に調査した結果ですから、同制度の市場における運用の実態及び制度の評価がよく表れています。

この調査結果を見る限り、「定期借家制度の普及が頭打ちになっている」ことが分かります。

余分な手間がかかるのが敬遠理由

それでは各々の調査結果で、やや内容に変化が見られますが、何が問題かといいますと。

貸主、借主ともにメリットがあるといわれながら、2000年にスタートして8年が経つものの、意外に普及していない。

賃貸借契約の選択肢が広がったとはいえ、定期借家契約には余分な手間がかかるのが敬遠される主な理由のようです。

契約時に行う際の重要事項説明に加えて、「公正証書等の書面」の交付が必要な上、契約期間が1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヵ月までの間(通知期間)に、賃貸借の終了を貸主から通知しなければなりません。この手続きが負担といいます。

定期借家契約には、「契約の締結」から「契約期間」「賃貸借の終了」「借主の解除権」「適用除外」といった細目がついているため、制度が複雑と見られてしまい、定期借家契約の特色である“契約期間が満了すると契約が終了する”、といった慣習(ビジネススタイル)がまだ地に着いていないようです。とくに、大家さんに入居者を逃がしてしまうのではないかという懸念が少なくありません。

従来型といわれる普通借家契約で十分役立っており、特段不都合はないので、“無理”をしたくないといった配慮が働いているようです。

ただ、期間限定で賃貸に出し、その先は家主(物件所有者)が住むといった場合や、建て替え、リニューアルを計画しているケースでは有効的に活用されています。

こうして見れば、定期借家契約は同制度の特性に見合ったケースで活用が進む、といえそうです。入居者からすれば、やはり物件第一主義で、物件を気に入れば入居条件が定期借家契約でも問題ないといった声をよく聞きます。

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