◆''「新たに礼金あり物件」''
賃貸経営の知識
かつて礼金の慣習のなかった地域で、新たに礼金が生まれる
「新たに礼金あり物件」
敷金(保証金)の代わりに
礼金を3~5ヵ月分もらっておく
「新たに礼金あり物件」とは、筆者の勝手な造語なんですが、かつて礼金の慣習のなかった(あってもごく一部)地域で新たに賃貸経営を始める際、迷わず礼金をセットにして賃貸借する物件を指します。
礼金のネーミングからして今日の住宅事情とか、社会の慣例にそぐわないところがあるのですが、賃貸ビジネスの経営スタイルとして、入居一時金として定着しています。
ですから入居に際し、家賃(前家賃)、敷金(保証金)とともに礼金が必要経費の名目で定着しているのはご承知の通りです。
ただ、礼金も当初は「お礼」をする意味から始まったのですが、今日では「権利金」的な性格を持ち、その物件が気に入ったので入居したい、ついては入居条件に敷金○ヵ月とともに、礼金○万円が必要となれば、条件に従わないと入居できないわけですから、さして文句も言わずに払うという人が多いのです。
お礼の気持ちから払うのではなく、物件が気に入ったから、入居条件になっている礼金を払うという権利金的な捉え方です。
礼金を必要としない物件が増える一方、新規に礼金を扱うケースが増えている
ところが近年、仲介現場では礼金を必要としない物件がジワリと増えている一方で、従来礼金システムがなかった土地でなぜかここへきて礼金が浮上、入居者に求めるケースが増えています。
背景にあるのは、グローバルスタンダードならぬオールジャパンスタンダード的発想で、あそこがもらっているのだから我々だってもらってもいいのではという、他府県のビジネススタイルを見習う姿勢が一つ。
また、とかくモメ事の火種になりやすい敷金をもらわない(だから敷引きもない)、その代わりに礼金を3~5ヵ月分もらっておく、これで入退居に伴う補修・修理、クリーニング費用を賄う、というのが二つ目の発想です。
敷金、保証金がゼロですから、礼金を3ヵ月なり5ヵ月分もらっておくというのは、考えようによっては合理的ともとれますが、入居者がどう評価するかです。
権利金的な見方をすれば、敷金が要らないのだからこれでいいか…となるか、エ~~、家賃の5ヵ月分も礼金が必要なの…と二の足を踏むか、入居者の評価に総てがかかってくると思います。
礼金はもちろん法律的な根拠、しばりがありませんから、大家さんの判断一つです。
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